177話 ページ30
太宰side
先日、敦君と……否、本来なら彼女と話しをする心算で二人きりになったのだけれど収穫は無く、あの日捨てられたであろう盗聴器を回収しに外に出ていた
けれど、何故か今日は少しばかり胸騒ぎがしていた
訳も判らぬ胸騒ぎの原因は心当たりがある
恐らく、最近矢鱈と敦君に執着するあの麗人……であろう者だ
そう思う理由等は明確なものは無いけれど、そうであると直感が伝えて来る
まぁ其れは兎も角、此の胸騒ぎを落ち着かせる早く探偵社に戻るに越したことは無い
国木田君に怒られるだろうが、気にする事無く来た道を戻った
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真逆、私がこんなに駆け出すだなんて思ってもみなかった。自分自身でも驚く位だ
探偵社に戻ったら、敦君の姿は見当たらなかった
問うてみたら例の人と共に何処かに行って居ないと言う。入れ違いだった
胸騒ぎを落ち着かせる為に戻ったのに、其れを色濃くさせる結果だなんて思ってもみなかった
何処に行ったかだなんて知らない。けれども走っていた
らしくないと私も思うさ
汗をかく等、有り得ないのだよ
宛もなく走るだなんて以ての外だ
それでも走っていた
.
暫く走ると、足が自然と止まった
目と鼻の先には味のある喫茶店
其の店の裏は、景色を反射したような硝子張りの……否、反射の角度が可笑しいから硝子ではないか
……此処に居るのか
そう思ってしまえば、足はどんどん中へと動く
入ってみたら如何だ。
店主であろう紳士が心臓辺りでシャツを赤く染めていた
目を開いたままピクリとも動かぬ其の姿。見慣れた光景に死後硬直だと理解する
走っていた息が上がったままだが、此の際如何でも良い
開いたまま儘の隠し扉の奥に行けば
「Aちゃん!!」
敦君の姿をしたボロボロの彼女と……
え、誰?
こんな着物着た男、私知らない
彼女の方を見れば……あ、あれ?眉を顰めてる
蟲を見るような目を向けていた
「…はぁ……」
「…成る程。まぁそう落ち込むな、少年」
「す、済みません……」
此の男、私が思わず彼女の名前を読んでしまったのに少年と言った
そして彼女も其れに合わせるように敦君のフリを即座にやってのける
彼女の事情を知っている……
謝る敦君はユラッと立ち上がって口に溜まっていたであろう血を吐き出す
良く見れば頬に殴られた痕が出来ていた
女の子だと言うのに……
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眠いちゃん - 敦君と夢主ちゃんが報われることを願います (2023年2月26日 23時) (レス) @page35 id: acdc06f415 (このIDを非表示/違反報告)
すー(プロフ) - 面白いです!続きが更新されるの待ってます。頑張ってください。 (2020年10月3日 22時) (レス) id: 91e5b79796 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - 久しぶりの更新めっちゃ嬉しいです!! これからも更新頑張って下さい!! (2020年3月5日 9時) (レス) id: adc186f0a4 (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - 更新お疲れ様です!毎回毎回、星の一番右を押してしまって「既に投票済みです」って言われてしまいます笑徐々に主人公が自分自身について知っていく…これからどうなるのかすごく楽しみです。次回の更新までまってます!!がんばってください!!!! (2019年10月13日 9時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - うおおお、、、!!!更新されている……!!!嬉しすぎる、、、!! (2019年9月14日 21時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のんのーー | 作成日時:2018年4月22日 20時