【文豪ストレイドッグス】私は君で、君は君 4

170話 ページ23

結論から云おう。捜査が打ち切りになる可能性が見えて来た。
何故かと云われたら面白いくらいに何も出なかったからとしか答えられない


と云うか抑もが変だ。何でこんなにも調べているのに塵一つとして出て来ないのかと云うのも勿論そうだけど、軍警に如何な事件なのか訊いても何も判っていなかった


可笑しいだろう？

軍警ですら内容を善く知らない事件を何故か追っている。
若しかしたら事件なんて起きていなかったのかも知れない…

その他諸々の点から打ち切り寸前って訳なんだけど…




「あらおチビちゃん、未だ居らしたの？好い加減離れたら如何です？」


「其れはこっちの台詞。おばさんこそ何時迄居る気…」


「おばっ…少々お言葉が汚いですわよ、糞餓鬼」


「今の言葉、返す」




例の女の人は未だ関わって来る

鏡花ちゃんと云い合いになるなんて最早恒例行事と化してる

争う事は別に止めはしないけど、近くでは遣らないで欲しい




「敦、お前は如何思う」


「え？」


「…貴様、真逆だが……」


「も、勿論訊いてました!!あ、ああ、あれですよね！ほら、ええっと…捜査を辞めるか否か！
ぼ、ぼぼ僕は捜査して事実を突き止めたいですけど…証拠も何も話すら事実か判らない状況ですから中止と云うのも致し方ない気はします…」




何方付かずの意見を云うなという視線が国木田さんからひしひしと伝わる




「はぁ…そうか。じゃあ最終決断は俺がして社長に報告しておく。お前は他の仕事をしていろ」


「はい、判りました」




溜め息吐かれても…
仕方無いでしょ。敦なら多分だけどあんな答えを出すだろうし
根拠も無い捜査なんて只の時間と労力の無駄遣いにすぎない


それに、其れとは別に気になる事が有るし…




「あ、あの…」


「敦様！如何されました？」


「一寸良いですか？」




だから本人に訊くのが一番だろうと思った

その光景に鏡花ちゃんやは勿論、調査員その他の従業員さん達も目を丸くしていた


そりゃそうだ。今の今迄ずっと此方から話し掛けた事は無いんだから。

寧ろ避けてた

そんな人間が急に何の前触れも無く話し掛けてるんだからそりゃ驚くに決まってる

普段ごりごり寄ってくる当人ですら豆鉄砲を食らったみたいな顔をしてる


でもそんなの束の間。直ぐに目をキラキラと輝かせ、此方を見た




「嬉しいですわ敦様！やっと其の気になられたのね!!それで何ですの？」


「…此処じゃ何ですから場所を変えませんか？」


「…？」

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