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167話 ページ20

もう用件は済んだ筈だ。ならばもう帰っても良いだろう

敦として先程の返事をしてから俯いている彼の近くに自分の分の料金を置いて席を立つ
と云っても飲み物しか飲んでないけど




「じゃあ僕は之で失礼します。あまり無理しないで下さいね?何だか変ですから…」


「…」


「?ご馳走様でした」




返事の無い此の人に背を向けて出口に足を向ける


悪戯な時間を過ごしたなぁ
疾く帰りたい。今直ぐ走って戻りたい

って思っていたのに




「…如何しましたか…?」



去り際に腕を掴まれてしまった
急に動きを止められたものだから少し身体が傾き転けそうになった…真似をした

何で帰らせて呉れないの?用件は一回で済ませて欲しい




「あの、太宰さ…」


「君は」




掴まれた手に力が更に篭もり、少し痛い




「君は…死にたいのかい…?」




藪から棒に尋ねる此の人の顔を見れば何て面をしてるんだと思わず云いたくなった

共感者を求め何かを望む様な
何かを懇願する様な哀願する様な

それで居て、捨てられた仔犬の様な…


そんな彼が掴む手をそっと解いて精一杯答えてやる




「はぁ?」


「っ、」




勿論、敦として



残念。相手が悪かった。

生憎と此方は捨て犬を見過ごす大勢の内の一人なんだ

拾い保護する心等持ち合わせて居ない


そう。“私”は敦とは程遠い人間なんだよ

だから期待なんてものを込められると不愉快でしか無い


心中?そんな莫迦げてる事は切実に辞めて欲しい

孤独?知ったこっちゃない

誰かと死にたい何て…少し笑いが込上がる
嗚呼、そういう所は莫迦らしくて少し面白いと思うよ




「本当に大丈夫ですか?部屋迄送りましょうか?」


「否、大丈夫だ…引き留めて悪かったね。気を付けて帰り給え…」


「は、はい」




項垂れてる彼から今度こそ離れる

嬉しさからか足取りが軽い気がするが出口を出る迄は確りと上司を心配する中島敦で居る

心配そうに何度も上司の様子を見て、一歩ずつ確実に外へ



扉を開けて閉め終えた瞬間、開放された気分で満たされる。
苦手な人亦は嫌いな人と居ると体力を使うからさ


却説、寮に戻ろう
の前に

(ズボン)衣嚢(ポケット)を探れば…ほら、矢っ張りだ

小さな盗聴器が入ってた


何処から何処迄が振りだったかは知らないが、あの人が彼処迄項垂れるか?

あの人は頭脳明晰。策士、参謀
疑ったなら気付かれぬ様に追求

そういう所も嫌いだね


盗聴器を其の辺に投げてから足を運んだ

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眠いちゃん - 敦君と夢主ちゃんが報われることを願います (2023年2月26日 23時) (レス) @page35 id: acdc06f415 (このIDを非表示/違反報告)
すー(プロフ) - 面白いです!続きが更新されるの待ってます。頑張ってください。 (2020年10月3日 22時) (レス) id: 91e5b79796 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - 久しぶりの更新めっちゃ嬉しいです!! これからも更新頑張って下さい!! (2020年3月5日 9時) (レス) id: adc186f0a4 (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - 更新お疲れ様です!毎回毎回、星の一番右を押してしまって「既に投票済みです」って言われてしまいます笑徐々に主人公が自分自身について知っていく…これからどうなるのかすごく楽しみです。次回の更新までまってます!!がんばってください!!!! (2019年10月13日 9時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - うおおお、、、!!!更新されている……!!!嬉しすぎる、、、!! (2019年9月14日 21時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:のんのーー | 作成日時:2018年4月22日 20時

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