【文豪ストレイドッグス】私は君で、君は君 4

165話 ページ18

嗚呼不幸だ

何て不幸なんだ

何でこんな事になったんだ


此方人等、寮に戻って鏡花ちゃんとご飯を食べてから睡眠したかっただけなのに…




「一寸ぉ、敦君聞いてるー？」




何で太宰治(此の人)に捕まったんだ

芥川の方が幾分かマシだ


でも敦は此の人の部下だし、恩人だと思ってるからそんな態度一切見せる事は許されない




「あーつーしーくぅーん」


「…何ですか」


「あ、やっと返答してくれた。私三回位名前呼んだのに全然反応してくれなかったのだよ？ハッ…さては敦君、耳が遠く…」


「聞こえてましたよ！少し聞き流してたんです！！」


「うん。知ってる」




本当に何なの此の人。何で此の人が上司なの
そして何でそんな人と外食してるの

理解不能


酒は飲んでたけど此の人がそんな簡単に酔うなんて無いし、抑も先刻の面倒臭いのは通常運転だ
嗚呼、帰りたい




「あの…帰って良いですか？」


「未だ来て数分しか経ってないのだけど」


「抑も何故太宰さんは僕を？」


「あァ、用件があったからなのだよ」




だったら探偵社で良いだろ。何で態々居酒屋迄来るんだ

敦は一応未成年なんだけど


其れに二人っきりって事は余程の事を話すって事でしょ？何でこんな人が沢山居る…

あぁ、賑やかだから話があまり聞こえなくて済むのか




「用件…とは？」


「乱歩さんと喧嘩したのだろう？其れが一つ目」


「…」




偶々其の場に居たのか。否、此の人の場合盗み聞きって云った方が正しいのか

抑も内容迄聞き取れていたのか？なら何処まで…




「えっ、と…？」


「ほら、先日の事だよ。河原で云い合って居ただろう。」


「あはは…無事仲直りしました。ご迷惑をお掛けして済みません。如何でも良い事なのに一寸互いに熱が入ってしまっただけなので…」


「如何でも良い事、ねぇ…」




こりゃ完全に聞かれたな

誰も居ないと思ってたのに…気配消すなよ。質悪い


あと人に聞いておいて疑いを掛ける様な目をするのは如何かと思う。嘘吐いたのは事実だけど




「それで何ですか？他に未だあるんですよね？」


「おや善く気付いたね。彼奴はそんな直ぐに気付かなかったよ」




急に誰かと較べるのは切実に辞めて貰いたい。
良く有る事ほど面白味に欠ける

其れに嫌い嫌いと云っていながらこんな時迄其の人の事が頭に浮かぶとか…
否、何でもない。思考の脱線はしない様にしよう

何せ対話相手が此の人だ。気を抜いたら足元を掬われる

嗚呼、帰りたい

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