164話 ページ17
「で、話って?」
奥に来て開口一番は乱歩さんだった
其れもそうか。先に話しを振ったのは此方だ
「あ、あの…先日は……」
「ストップ」
「えっ」
いざ話を持ち出そうと喋り出したら真逆の止めが入った
何か癪に障る事でも云ったっけ?あんな短い分の中で
善く判らないと目で訴えれば乱歩さんは綺麗な翠緑が捉えて来た
「…敦君」
「は、はい」
「Aと話がしたい」
「……」
何故…だなんてのは愚問か
あーあ。責任転嫁出来ると思ったのにこりゃ失敗だ
それに乱歩さんは今敦じゃないって事を判った上で云ってるんだ
拒む権利は無い、か
「…先日は済みませんでした。情緒不安定だったとは云え、流石に非道い対応だったと思います」
「うん。でも僕にも非は有る」
「其れに加えて何も云わずに只休むとだけ告げて伝言係のような真似迄させて…」
「国木田から訊いたのか。ま、僕が好き勝手やった事だから。僕の方こそ気が回らなかった」
乱歩さんらしくないな
普段の乱歩さんだったらもっと怒っているだろうし、こんな素直にならない
二つの翠が語ってる事はそういう事だよ、敦
「「何て思ってない癖に」」
___は?
案の定。此の件を一部始終聞いていた敦は訳が分からないと云う様に声を上げる
そして視界が勝手に動けば、目に入り込むのは口角を之でもかと云う程上げて若気る乱歩さん
じゃあ此方も同じ表情をして居るのだろう
「敦君はどー?」
「まんまと嵌って只今困惑中ですね」
「Aが巫山戯出すからだよ」
「面白そうだなぁって思って」
でも謝りたかった事は事実だし、内容に関しても何ら変わりない
只単に、お互い重く気まずい空気が嫌で咄嗟に普段しないであろう言動を取ったってだけ
何一つ其れについて話してないけど何となく乱歩さんが察して呉れて、今に至る
だってそんなの柄じゃない
___…心配して損した
まぁそう云うなって。之で問題解決したんだからさ
___そうだけど…
よく考えてみろよ。あんなに執拗い乱歩さんが今更引く訳ないじゃん
「ま、これからもAと話してく心算だよ」
「成る可く控えて呉れると有難いんですけど…」
「知ぃらなーい」
頭の後ろで手を組んで此処から出て行く乱歩さんは随時の調子に戻った
でもそんな彼は戻り際に頭を二回撫でて飴玉を一つ手に乗せて来た
そう。彼なりの御免なさいってのはこんなものだ
口にする訳無い
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眠いちゃん - 敦君と夢主ちゃんが報われることを願います (2023年2月26日 23時) (レス) @page35 id: acdc06f415 (このIDを非表示/違反報告)
すー(プロフ) - 面白いです!続きが更新されるの待ってます。頑張ってください。 (2020年10月3日 22時) (レス) id: 91e5b79796 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - 久しぶりの更新めっちゃ嬉しいです!! これからも更新頑張って下さい!! (2020年3月5日 9時) (レス) id: adc186f0a4 (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - 更新お疲れ様です!毎回毎回、星の一番右を押してしまって「既に投票済みです」って言われてしまいます笑徐々に主人公が自分自身について知っていく…これからどうなるのかすごく楽しみです。次回の更新までまってます!!がんばってください!!!! (2019年10月13日 9時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - うおおお、、、!!!更新されている……!!!嬉しすぎる、、、!! (2019年9月14日 21時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のんのーー | 作成日時:2018年4月22日 20時