【文豪ストレイドッグス】私は君で、君は君 2

53話 ページ5

脱衣所で着替え終わったら、中原さんが水欲しいだなんて云うものだから冷水機の水を渡した




「大丈夫ですか？」


「長く入り過ぎたな……」


「僕より早く入ってるんですから、そりゃ逆上せますよ」




もう脱力状態に入っているから持ってきたタオルで彼の頭を拭く


髪が長いからちゃんと乾かさないとマズイな



然も今気付いたけど、この人酒臭い


飲んだ後に長風呂はそりゃ逆上せるわ




「お酒は程々にしといた方がいいんじゃないですか？」


「なァ敦って、矢っ張り別人に見えるよな」


「………」




思わず手を止めて黙り込んじゃったけど、凄く驚いてる

心臓が飛び跳ねるかと思った


え、何それ、敦に成れてないって事？




「な、何云ってるんですか〜！若しかしてまだ酔ってるとか？」


「かも知れねェな。でも俺には女に見える節が時々あンだよ」


「えっ……うわっ！？」




手首を掴まれてぐいっと引っ張られる


それに抵抗出来る筈もなく、中原さんの胸元に飛び込む形になってしまった




酔っ払いが




「な、ななな何するんですか！」


「まただ」


「ちょっ、はぁ！？」




この酔っ払い


厄介過ぎやしないか



お願いだから酒の力とか気の迷いとかそういう事で済ませてくれ



じたばたと暴れて離れようとするが、躰が無駄に重い


異能使いやがったな




「なァ、どうなンだよ………」


「そんな莫迦げた事あるわけないでしょう！？あり得ないですっ！寝惚けてるんですか！？それとも酔ってるんですか！！」


「五月蝿ェ」




口を塞がれて、前髪を上げられ


頬に柔らかい感覚がきた




「っは、ごちそーさん」


「……水飲みましょう」


「んあ？」


「そしてこれは悪い夢。そう、悪夢だ。きっと中原さんが飲み過ぎて幻覚見てるんですよ……意識も朦朧としてるからこんな事に……早く帰りましょう！」


「お、おい、敦……？色々と云ッてる事がゴチャゴチャだぜ……？」


「てな訳で僕は失礼します！ストレスは少しずつ発散すればこんな事は起きませんからちゃんとストレスを発散して下さいね！では！」


「あ？って、オイ待てッ！」




自分の荷物を持っておばさんにお金を払い成る可く疾く走る


外に出て暫く走り、もう銭湯が見てない所まで来たら徐々に速度を落とす




「嘘だろ……」




どんな状況であれ、あれはマズい


勘とは云え、真逆太宰さんより早いなんて……


それにさァ





同性愛とか求めてねーよ


フラグ立てんな

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