【文豪ストレイドッグス】私は君で、君は君 2

61話 ページ13

煙の中を走り、羅生門が襲いかかる寸前の鏡花ちゃんを救出する

腕は虎化した


ゆっくりと此方に振り向く芥川を確りと捉える



「勝負だ、芥川」



完全に此方を見た芥川は待っていたという様に口元を吊り上げた



「今と成っては奇異なる事だが、貴様とは孰れこう成る気がしていた」



腕の中に居る鏡花ちゃんをそっと持たれかけさせる




「！」



その時に何かのパイプ菅からシュウウと煙が出ているのが見えた

それを見て、立ち上がる




「懸賞金を取りっぱぐれるぞ」


「気にするな。もはや貴様を生かして渡す気など無い」




渡す、ねぇ


そんな事を頭の隅に入れ乍ら互いに互いを睨み合う




「お前は許さない」


「僕とて同じこと」




パイプ管が大きな音を出し破裂したのを合図に飛びかかる


虎化させた手で打撃するが羅生門に阻止される




「羅生門！」


「っ！」



目に神経を集中させて連続でくる黒布を避ける

床の一部を剥がし、力一杯投げる



それが壊されるのは百も承知だ

芥川の横に回って再び打撃を試みる




「！？」


「無益」


「！」




空間断裂により攻撃は不可能であった


すると今度は腕に羅生門が巻き付き、身動きが取れなくなった




「その程度か人虎」


「くっ……」


「嬲る趣味はない。一撃で首を落として遣ろう」



羅生門は形を変え、大きな刃物のような形になった




「っ」


「呪うならば己が惰弱さを呪え。貴様は探偵社と云う武装組織に属した。故に自らも強いと錯覚しただけの弱者。その探偵社へも偶然と幸運だけで属しただけだ」


「……今日は随分よく喋るな」


「……無口だと申告した憶えは無いが」




何処ぞの兵長だよ



にしてもこの状況は辛い


私は異能を発動する事は出来るが、戻す事は出来ない






………だから敦


今回、戻れとは云わない


せめて




先刻みたいに少しでいいから出て来て、力を貸してくれ




「……お前の云う通りだ、僕は弱い。けどひとつだけ長所がある」


「何だ」




来い、敦




「お前を倒せる！！」


「貴様っ、右目が……！」




芥川が驚愕を顔に浮かべたのと同時に異能が解けた




やぁ敦、久方振りだな



＿＿＿そう？



あぁ〜……話すのはって事



＿＿＿そうだね



まぁいいや、話してる時間は無い



＿＿＿うん




取り敢えず、目の前の事に集中しよう。異能の手助けでいい、頼むよ



＿＿＿わかった






着地したら直ぐに芥川に攻撃する




「ちっ」

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