かぐや姫は月に溺れて…。(4) (ページ25)

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会いたくなかったのにページ25

季節が一巡りし、リリィはあの日から変わった。俺から見ても、蛍から見てもわかるほど生きることに強い欲を持っていないに見える。何かに依存でもしなけりゃそれこそ死んでしまう勢いだ。よく一年もったものだろう。
家中不穏気な空気が立ち込めている。そんな中、家族を破綻させる暗雲が俺たちを再び覆った。
あれは稲穂が黄金色の波を打ち、木々が黄色く色づき始めた頃のこと...

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「お兄ちゃん、」

『どうしたの？』

変に余韻を残しながら蛍は俺を呼ぶ。

「お客さん来てるよ。お兄ちゃんに会いたいって」

『？...そっか、ありがとう。ちょっと出てくるよ』

妹の不審な様子に疑問を持ちながらも玄関を開ける。

「こんにちは。久しぶりですね」

スッと扉を後ろ手に閉める。

『久しぶり...なんてしたくなかったけどね。柴庭さん』

「皮肉ですね。家族とまで言ってくれた貴方がこうまで私を嫌うとは」

少し肩を落とし残念そうに眉を下げるが、こいつの本性を知ってしまうとただ人の真似事をしているようにしか見えない。

「君に会いたかった」

『気味が悪いな。早く要件を言ってくれるか』

「おや、貴方に会いたかったのは紛れもない本音ですよ？そういっても、君は信じてくれないでしょうが...まぁ本題に入りましょう。単刀直入に、私のもとに帰って来てはくれませんか」

『それに俺が応じると思うのか』

「まさか」

嗤ったように肩を震わせる。

「昨年。何のためにあの二人を呼びだしたと思ってるんですか...これはお願いじゃない、命令です。」

この意味が理解できて尚要求を拒否できるほど、俺はズル賢くなかった。

『...わかった。その代わり、二人にはもう関わらないでくれ』

不敵に嗤う。

「貴方のそういう所...僕、本当に大好きですよ」

頬に手を添え、目を細めてそう言った。こんな人間を野放しにしている世の中には本当に眩暈がしてくる。

『二人と話す時間をくれ。少しでいい』

「えぇ、勿論。ですが明日には迎えに来ますからね」

『あぁ』

茂みの中に消えていく背中を見つめる。沈黙に晒されたこの場所にいられなくなり、いたたまれず家に入った。

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ぼく、敬語とタメで二人称変わるおにいさんすき。くれいじーさいこおにいさんすき。