影、風、影 ページ10
リーファside
『お前はそんなんだからいつまで経っても弟的な立ち位置を卒業できないんだよ!このド変態をM野郎!』
「ひ、ひどい...!」
「あ、あれは何なの?」
私は目の前の光景に半ば呆れていた。つい先程足を踏んづけてやった友人のレコンに、A君がおびただしい罵声を浴びせている。
「Aは変態に対して恐ろしいまでの拒絶反応を持っていてな...変態を見つければ場所や人柄に関わらずに滅茶苦茶な罵声と攻撃を叩き込むんだ。」
「そ、そんなことって...!」
「以前やっていたVRMMOでもとあるギルドの人間をストーカー呼ばわりしたことがあってな...」
そう言って隣にいる彼...キリト君は目を細める。
「ともかく行くぞ。多少捨て置いても大丈夫だろう。あいつは結構筋が良くて、直線スピードなら誰にも負けないと豪語してたぞ。」
「へぇ?後で勝負してみようかな?」
私達はそう言い合って飛び立った。
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和人side
目を開くとそこは自分の現実での部屋だった。ベットから降り、隣の部屋のドアを叩く。
「スグ?...寝てるのか?」
ドアに手をかけ、思い直す。昨日あんな醜態を晒してしまったのだ。気を使っているのだろう。
下に降りると、サンドイッチが用意されていた。「お兄ちゃんへ」と書いた紙が添えてある。
「俺は随分といい妹をもらったようだな。」
そう言って俺はサンドイッチを頬張った。
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「ななな、なんでもないっ!」
リーファの声だ。俺は目を開け、声をかける。
「何がなんでもないんだ?」
「うわぁっ!」
『よっ、帰ったか。』
見ると、Aもそこにいる。
「今、リーファさんとお話w」
「うわっ、な、なんでもないったら!...ず、随分早かったね。ご飯とか大丈夫なの?」
そんな言葉に、俺は妹への感謝を込めながら言葉を返す。
「ああ。家族が置いといてくれた。」
思えばこの幻想の世界でいくつもの旅をしたものだ。このALOの世界だってそうだ。幾多もの分かれ道を通り、沢山の仲間と出会った。それが今の結果だ。ありがとう、とAにお礼を言いながら、俺は羽を広げた。
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作者名:闇月 | 作成日時:2023年11月12日 17時