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剣士の苦悩 ページ9

和人side

俺はゆっくりと目を開けた。手探りで顎のロックを外し、「それ」を持ち上げる。俺の手の中にあるのは現在唯一にして至高のハード、アミュスフィアではない。その前時代機にして、かのSAO事件を起こした凶器でもあるナーヴギアだ。俺...キリトは体を起こし、ナーヴギアを置いた。
「リーファか...」
RATHのタイムマシンは一つ欠点がある。何故か人間関係に関連する記憶がさほど引き継げないのだ。その為、俺はこの件に関してはほぼ無知と言っていいだろう。大きな流れは理解できる。しかし、細かいところまでは分からないのだ。どうすれば世界樹に行けるのか、その上に行くにはどうすればいいのか、それが分からない。だが、そんな事を考えている暇はない。今回、タイムマシンの改良で3000人が新たに送られてきた。それぞれ順次世界樹に向かうはずだ。遅れをとる訳にはいかない。その3000人は己の涙と哀しみを振り払い、人々の戦闘意欲を満たすためだけに生まれた幻想の剣を握って旅立つ。その最前線に立つものとして俺は負けない。諦めない。例えどんなに右左が分からなくても、例えどんなに追い詰められても、仲間を見捨てることは出来ない。仲間を救うのをやめる訳にはいかない。それが俺の、俺達の使命だ。...そういえばAがキリトでいる時の俺は冷静さと元来の性格が三倍になると言っていた。どういう意味だろうか?
「おっと約束の時間だ」
ジムから帰宅し、相棒の電源を入れる。頭に装着し、新たな戦いを求めて叫んだ

影、風、影→←着地のイロハ



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作者名:闇月 | 作成日時:2023年11月12日 17時

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