見舞い ページ16
目を開けると自室の風景が広がっていた。手探りでロックを解除し、頭につけていたギアを外す。
『...さて、見舞いに行くか』
他にすることもないし。行くしかない。
《イヤァァァァァァァァァァ!》
どこかで悲鳴が聞こえた。...やったな、あいつ。
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バスに乗ると、奴がいた。
『よう、和人。』
「赤羅じゃないか!なんでここに!?」
『他に行くところがないからな。『あの事』への決意を得るためにもな。』
おや?と俺は奴の隣りにいる人影を見つめる。
『そいつは?』
「妹の直葉だ。...おい、何だその目は!?お、俺は無実だ!」
「お、お兄ちゃん...」
やれやれ...こんないい子を血縁に持ちながら、此奴のなんと浅ましいことよ...。
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直葉side
赤羅さんは口は悪かったけれど、とても気さくな人だった。...そういえば何となくA君に似ている。そしてー
『じゃあ、俺は野暮用があるから』
赤羅さんはそう言って去っていった。私はお兄ちゃんと一緒にアスナさんのお見舞いに来ている。
でも...未だに自分の気持ちが分からない。私はお兄ちゃんと仲のいい兄弟でいたいの?それともー。
「ーッ」
お兄ちゃんの顔を見た時、私は自分の心にあるものの正体を悟った。...そして、自分では届かないものであることに。
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作者名:闇月 | 作成日時:2023年11月12日 17時