襲撃作戦 ページ14
「行かなきゃ!」
突如リーファがそう言って立ち上がる。
『よう、帰ったか』
「お帰りなさい」
俺とユイが声をかける暇もなく、彼女は言葉を返してきた。
「ごめんなさいキリト君、A君。...私、急用が出来ちゃったみたいで...帰ってこられないかも。」
おぉ!これは朗報ー、いや悲報だ。ここから先は賭け同然。俺達の行動一つで、泣く泣くキルしてサヨナラかそれでもと庇って共にくたばるかのどちらかだ。当然、彼女は自分たちの問題のために、他種族のである俺達を巻き込みたくないと思っているだろう。...だがなリーファ。キリトは仲間の犠牲で得る幸せなんて喜ばないぜ?
「所詮、ゲームだから何でもありだ。殺したければ殺すし、奪いたければ奪う。一面ではそれも事実だ。」
かけている眼鏡を押し上げ、再び言葉を紡ぎ出す。
「そういう奴には嫌ってほど出くわしたさ。ー俺も昔はそう思っていた。」
それは当然だろう。どうせゲーム内であれば、何をしても咎められないのだから。この言葉に深くうなずいたプレイヤーは少なくない。
「だが、そうではない。仮想世界でもー、いや、だからこそ守らなけゃ行けない者がある。俺はそれを、大事な人間に教わった...」
直後、リーファの前で始めて彼の声が温かい響きを帯びた。
「VRMMORPGでは俺の持論だがー現実と分離したロールプレイは存在しないんだ。ここで欲望に身を任せれば、その代償はリアルの人格へと回帰する。...プレイヤーとキャラクターは一体だ。」
優しい、それは泣きじゃくる子供を慰めるような優しい声が、再び言葉を紡ぐ。
「俺はリーファの事が好きだ。友人になりたいと心から思っている。...そんな相手を自らの利益のために切り捨てるなんて真似はー、俺は絶対にしない。」
彼女が胸に両手を当て、言葉にできない感情を持て余しながら涙をこぼすさまを見て、俺は良かったと心から思った。
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作者名:闇月 | 作成日時:2023年11月12日 17時