またかよ ページ5
Aside
俺がシルフ領近辺の古森に送られて3日が経つ。俺に与えられた任務は監査。この古森周辺を狩り場にしているパーティの監視だ。この世界には大きく分けて二種類の妖精がいる。一つは他の生物の噂や伝承が世界樹の力で実体化した純妖精(ノーマルフェアリー)。もう一つは俺たちのように異界からの魂(=他のVRMMO出身プレイヤー)が純妖精と融合(データ引き継ぎ)した混妖精(ブーストフェアリー)である。混妖精は武器を使った戦闘に長け、運動能力自体も高いがその代わり飛行の上達が遅く、また魔法の扱いもあまり得意ではない。ちなみに混妖精は移動能力が低いので大抵は捨て置かれる事が多いのだが...俺は混妖精の中でもずば抜けてステータスが高く、また飛行の上達が早いので領主によって雇用され、他の純妖精共々送られてしまったと言う訳だ。
『やれやれ...なんで俺たちが監査しなくちゃならんのだ。』
その疑問に、同僚の一人が答えた。
「なんでも近いうちにサラマンダーと同盟を結ぶとかで、その偵察も兼ねてだとよ。」
『!サラマンダーだと!?正気なのか!?』
「おいおいA...シルフとサラマンダーとなると、いつもそんな顔になるよな。」
それは当然だ。本来二種族は組織間のpkが起こるほど仲が悪い。同盟を結ぶと聞いたら領主の精神状態を疑うのは当たり前だ。
『しっかし平和だよなぁ。』
「ホント。この平和がいつまでもつづけば...」
そんな事は無かった。俺たちの目の前にいきなり魔法が着弾してきたからだ。空を見れば15人程のシルフがノームの大部隊に追われている。
『行くぞ!』
「待て、A!いくら次のスプリガン四天王と呼ばれているお前でも、あんな大部隊は相手には...!」
『なら見捨てるのか!?お前は本当にそれでいいのか!?』
「そ、それは...」
『俺は行くぞ!安心しな。俺は簡単には死ぬつもりはない。...それに、同じことを考えてるやつが俺以外にもいるみたいだしな。』
そう言うと、俺は漆黒の空へ飛び立った。
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作者名:闇月 | 作成日時:2023年10月6日 22時