ソードアートオンライン〜剣士と妖精と〜 (ページ17)

今日:14 hit、昨日:0 hit、合計:674 hit

サイドストーリー：魔法兵カズページ17

「えっ、もう行っちゃうの？」
「あぁ...俺はもっと強くなりたい。こんな所に甘んじてちゃいけない。」
いつも強気なリーファが寂しげな表情を浮かべている。この二日間、俺はこのパーティで絆というものを知った。俺は強くなりたい。皆が笑顔で暮らせるように、もっと強くなりたい。...そう思っていた。しかし、現実はそう甘くはない。凶悪なモンスターに襲われ、俺の命は尽きようとしていた。
(ごめん...皆...)
「諦めるのか？」
声が聞こえた。そこには漆黒の装備に身を包んだスプリガンの男が立っていた。
「カズ。そんな事で目的を諦めるのか？答えてくれ」
諦める？命を捨てる？冗談じゃない。
「...嫌だ。まだ死にたくない！」
「そうだ。その意気だ。...俺がお前を生き返らせてやる。」
「本当か？」
彼は哀切な笑みとともにこう言った。
「勿論だ。だが、道は険しいぞ。俺はお前を回復させるために俺の魂の奥底に閉じ込める。そこから自力で出るんだ。...正直、その期間はどれだけ長くなるかわからない。もしかしたら永遠に出られないかもしれない。それでも行くか？」
「当然だ！何も達せずに死ぬよりは、わずかでも可能性がある方にかけてみたい。」
「よく言った！」
「所で、まだ名前を...」
「おっとすまない。俺の名はキリトだ。」
キリトと名乗った少年は俺の前に手をかざした。途端に意識が遠くなる。
「負けるなよ。カズ。」
薄れゆく意識の中で、キリトの声が響き渡った。