番外編：混妖精の弱点 ページ11
混妖精が初めて発見されたのは十年前。あるシルフが中立域で奇妙な炎を見つけた。それはとても小さく、だがとても強い光を持つ炎だった。発見してから十分で消えてしまったが、見るとそこら中に同じような炎が燃え盛っている。この奇妙な炎は領地周辺の中立域全てで見かけられるようになった。そして水魔法や回復アイテムの使用によって炎はその場に残り続ける。この奇妙な特性は純妖精たちに新たな疑問を生んだ。「これ、強力にするとどうなるんだろう？」程なく、世界樹の上にまで響き渡るような結果が報告された。純度87%の回復アイテムをかけた途端に火柱が立ち昇り、そこから妖精が出現したというではないか。その妖精は飛行や魔法戦闘は少し苦手だったものの、武器を使った接近戦では負けなしと言われた。調べてみると、その妖精には修羅場を戦い抜いた人の魂が入っていた。であれば魔法戦闘や飛行の上達が遅いのもうなずける。更に彼らは死なないと言う特性もあった。混妖精は大きなダメージを受けると炎に戻り、その間に蘇生できなければ自らのアイテムや経験値を犠牲に己の種族領に戻る。しかし、弱点もある。それは人を見る目がなくなってしまうのだ。生真面目な護衛を「クビにしろ！」と叫んだり、世界の支配者(自称)に「あんたは存在するだけで人を殺す」と言ったり、背中に立つと「俺の後ろに立つんじゃない！殺人鬼が！」と叫んで問答無用で斬りかかるなど、彼らの狂った姿を見てしまった故にそいつを絶対に信用しなくなってしまうのだ。だが、精神が不安定になっているとはいえ、彼らも戦士の一角である。そんな弱点を覆すような攻撃ができる。姿戻し(フォルムリバース)だ。これは自分自身を一時的に昔の姿に戻すことで戦力を大幅に増強する(正確にはAのハッキングによってアバターが使用可能になっている)。失敗すれば即死だが、その分戦力は大きく拡大する事ができるのだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：闇月 | 作成日時：2023年10月6日 22時
