はるかなるものがたり ページ5
「それ」は唐突に現れた。「それ」は道行く人々を立ち止まらせた。そして俺達をそこに釘付けにした。
『おや、旅人じゃあないか』
そう、あの怪物を撃退した彼女も来ていた。そして俺達はそれに聞き惚れる。
ーーーーーーー
僕が話すは古の始まり、神々がまだ大地を歩く時代の物語。天空の龍が空から降り立ち、世界の万に好奇を抱く。龍は自ら答えを探し、雑然とした世に目を回す。風の歌い手が琴をつま弾き、天空のライアーがそれに答えた。龍は好奇に駆られし幼子で、過去の苦悩を忘却せんと飛翔しただけ。それは詩に耳を傾け、歌をそらんずる。万物に己が心に理解させるために。歌い手と龍は伝説となり、暗黒の時代がやがて始まる。
A(...？なんだか雲行きが...？)
獅子の牙は朽ち、魔の旗は落ち、一頭の悪龍がモンドに迫る。大聖堂は辛苦の影に包まれ、ため息は詩人によって再び詩となった。天空の龍が召喚に応じ、暴風の中悪龍と殺戮に舞う。ー天空の龍は悪龍の毒血を飲み眠りに落ちる。蘇りし時、知るものは誰ひとりいない。『今の人々はなぜ我を嫌う？』天空のライアーは答えず、怒りと悲しみ 命と毒が涙となって龍の目尻から流るる粒となる。詩は沈黙し、腐敗は進み、天空のライアーは話せなくなった。
ーーーーーーーー
すべてが終わったとき、俺はしばらく動けなかった。少し経ってようやく落ち着きを取り戻し、旅人の元へ駆け寄る。
「おや、君たちは...」
ん？なんだなんだ？
「ふーん...あっ！あの時トワリンを驚かした人たちだ」
んん？
「トワリン？」
んんんんん？
「忘れたの？あの風魔龍の名前」
...旅人、すまない。
『...話についていけない。説明してくれないか？』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：闇月 | 作成日時：2023年12月24日 22時
