◇38話 ページ44
少し乱れた息を整えながら田中の顔を見ると、田中は、ポカンとした顔をしていた。
その顔があまりにもアホ面だったので鼻で笑ってやると、田中は恥ずかしくなったのか、こちらを睨みながら走り去ってしまった。ざまぁ。
しかし、私はあることに気づいてしまった。
そう、私が田中に向けて叫んだ言葉がこの場にいる人全員に聞こえていたことだ。
もちろんそれはAも例外では無く、叫んでいた内容がほぼ絶叫告白だったためか、羞恥心から顔を真っ赤に染め上げ、困ったように笑っていた。
え?無理無理可愛すぎてどうにかなりそう。
その様子をAの周りで見ていた男共はとっくにどうにかなっており、しりもちを着いている人、赤面して口をパクパクとしている人などがいた。
そいつらをどかし、真っ直ぐにAのもとへ向かう。
私が来た事に気づいたのか、Aは私と目を合わせると、微笑みながら言った。
『待つ暇なんて無いくらい好きって伝える、って確かにいってたけど…。
有言実行早すぎない?』
「うん、急かすみたいになっちゃってごめん。
でも、私の気持ちを伝えるにはこんなんじゃ足りないよ?これから、もっとたくさん好きって言うから!」
私がそう言うと、Aは眉尻を下げて困ったような顔をした。
『それは、分かったけど……。
でも、今みたいなのはちょっと恥ずかしいから、出来ればあんまりやらないでほしい…。』
そう言うAの声は、徐々に小さくなっていき、それと同時に顔を俯かせた。
私はそんなAの耳に顔を寄せ、囁く。
「そんな可愛い顔されると、やりたくなっちゃうじゃん、?」
すると、彼女は顔をあげた。その目は見開かれており、驚いているようだった。
コロコロと変わるAの表情が可愛くて、クスクス笑っていると、それが不満だったのかジトーっとした目で私を見つめる彼女。
「ごめんね?つい、可愛くて。」
私がそう言うと、Aは何とも複雑そうな顔をした。
きっとAにはまだこの気持ちは分からないんだろうな、と思うと少しもどかしい気持ちになる。
いつか、Aにも私と同じ気持ちを抱く日が来てほしい。
そんなことを思いながら、私はAを見つめていた。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
作者の号哭。です。
終わりが無理矢理になってしまい申し訳ないです。
りなちゃんsideのお話如何でしたか?
需要無いかなと思っていたのですが、やっぱり書きたかったので書きました。
ご意見、感想お待ちしております。
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号哭。 - れーとさん» りなちゃんについてコメントしていただけて嬉しいです!!ありがとうございます! (1月17日 21時) (レス) id: 07f289d1de (このIDを非表示/違反報告)
号哭。 - あさん» コメントありがとうございます!頑張ります!! (1月17日 21時) (レス) id: 07f289d1de (このIDを非表示/違反報告)
れーと - りなちゃんしか勝たん (12月28日 20時) (レス) @page43 id: 52d6184189 (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - ファイトです🔥 (11月15日 14時) (レス) @page41 id: c33439ae2b (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 号哭。さん» いいですよ!ありがとうございます✨ (9月8日 8時) (レス) id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:号哭。 | 作成日時:2023年2月1日 2時