美食會に拾われた少女 (ページ1)

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主人公人外でっす！ページ1

『ひっ…ふぅ』
泣声を手で押さえ走る。

金色の短い髪が小さく揺れる。
月明かりに照らされるたびに背中に生えた蝶のような羽がキラキラと光った。

四枚ある羽の１枚は折れ、１枚は千切れかかっている。

興奮状態のせいもあってか、羽は大きく開いたままで呼吸に合わせ上下している。

『ハァハァ』
後ろを何度も振り返っては、走る。
転けても、枝で肌が傷ついても止まらず走る。

１枚のボロボロのシャツを来て、左頬は腫れ、目尻は泣きすぎたせいか真っ赤になっていた。
乾いて肌にひっついた鼻血、口から零れる血

首にはロープ後、手には切り傷や、縫い跡など

殴られ青くなっている箇所がいくつも服の下から見え隠れした。

＿ピチャ

尖った耳がピクリと反応を示す。
そこでやっと彼女は立ち止まった。

『ッ･･ハァハァッ！』
息絶え絶えに唾液を飲み込む。
口の中はパサパサで、唾液を飲むと喉が悲鳴を上げた。

＿＿水が欲しい＿＿

次から次へと零れる涙を手で拭い歩く。

ガクガクと走り続けた足が震える。
怖い怖い、ビクビクと耳を立てて、いつでも逃げられる体勢を作り足を進ませた。

＿ガサガサ

『ひっ』
振り返ると何もいない。
風で葉が擦り合ったと理解するには随分と時間がかかった。

『ハァハァ』
音が怖い、気配が怖い

木に手を当ててゆっくりと足を進める。

何度も何度も立ち止まり、見えてきたのは小さな湖
月明かりが照らし、反射をして水面が光ってる。

Aはそっと指を水につけた。

ピリッと小さな傷口が痛み出す。
眉に皺を寄せながらも、指についた水滴を舌で舐めとった。

随分と久し振りに、水を口にした気がする。

『ハァ』
一呼吸おき、手で水をすくった。
キラキラと手の中で輝き、波紋がぶつかり消える。

手に小さな湖が出来た気分だ。

ペロッと少し人のソレよりも長く細い舌で水を舐める。
そして唇をつけ水を口いっぱい吸い込んだ。

＿ゴクゴクゴク

水を飲む音がAの耳に聞こえ、ピクピクと尖った耳が動く。
口が空っぽになる

『足りない』
目に宿った生気

＿バシャン！！

湖に顔をつける。

＿ゴッゴッゴッ

先程とは非にならない音
水につかないように耳が空を向いた。

それと同時に

＿ブゥゥウン！

虫の羽音がAの耳を震わせ、鼓膜に伝わり、頭を振動させる。

右目が赤、左目が青のオッドアイがバチッと湖の中で光った。

＿バシャッ！！

顔を湖から勢いよく離し、空を見上げる。