早とちり ページ35
突然訪ねてきて、私に一方的に喋らせて、最終的に、「平気なわけない」なんて。勝手だ。
ーーそれなのに、久々に感じる体温とか、
その体温を、やはり好きだと感じてしまう自分とか
生理現象とは厄介である。
「・・平気じゃないってのが本当なら、
どうして反対しなかったの？」
この人が面倒ごとを嫌うのはわかってるけど、
少しくらい、独占欲を見せて欲しい。これは、
単純な乙女心だ。
見据える先で、困ったように頭をかいた坂田さんは
観念したように口を開いた。
「お前は、家族と縁切りしたがってるわけじゃ
ねェだろ」
「え？あ、ま、まあ」
「なら、余計な拗れ増やすわけにもいかねェしな。
数時間我慢して丸くおさまるなら、そっちの方が
楽だろうが」
「それが、理由？」
「そうだよ。悪ィか」
驚いた。
ーーーいや、何に驚いたって、彼がそこまで考えられる人間だったということについて、だ。
だって、この人は自分の欲望に忠実で、
自由気ままに生きてる。そんな感じがするから。
実際、それは事実だし。・・でも、そんな男が、
私のことを、こんなに真剣に考えてくれていたのだ
「・・坂田さん、面倒ごとを避けたかったんだと
ばかり思ってた」
「まあ、間違っちゃいねーけどな」
照れくさそうな顔。この人のこんな顔、初めてみた
無意識に溢れた私の笑みに気づいた坂田さんは、
不愉快そうに口をへの字に曲げた。
「・・私と会ってなかった間に必死に考えた言い訳ってわけじゃないよね？」
「ちげーよ」
「そっか。じゃあ、私の早とちりだね」
ふふ、と、今度は声に出して笑っておいた。
「思い込み激しい女はモテねーぞ」と、通常運転で
悪態を投げつけてくる彼。これが照れ隠しなのかも
と気づけただけでも、今回のイザコザには、
価値があったかもしれない。
「ーーーで、どうするんだよ」
「へ？何が」
「見合いだ見合い」
「・・・あ」
そういえば、どうしましょうか。
私は、坂田さんに妬いてもらえなかったショックで
半ばヤケクソに了承してしまったのだ。
直前まで迫った見合いを断るなんて、そんなの、
プライドを丸めて揚げたみたいなうちの両親が
許すはずがない。
「こりゃ、夜逃げだな」
「まじかよ」
こうなったら、見合いの日が終わるまで
姿をくらますしかない。
はやくも最終手段を思案し始めた私に、
坂田さんは疲労をこめたため息をこぼした。
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シュシュ☆☆(プロフ) - 紫蘭さん» いつもありがとうございますっ！最後まで気長にお付き合いくださり、光栄の極みです！新作も出せるかと思いますので、また暇なときに足を運んでみてください！ (2019年8月25日 8時) (
レス) id: cae178a2c8 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 更紗さん» ありがとうございました！なんとか完結です…！ちぐはぐな部分もあったと思いますが、読んでくださり、ありがとうございました！ (2019年8月25日 8時) (レス) id: cae178a2c8 (このIDを非表示/違反報告)
更紗 - 完結おめでとうございます！銀さんと夢主ちゃんの関係性が独特ながらとても素敵で、何度読み返しても飽きませんでした！更新本当にお疲れ様でした (2019年8月11日 18時) (レス) id: dd67e5be9c (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - シュシュ☆☆さん» 少し早いですが、続編おめでとうございます!! シュシュさんのペースで頑張ってください!! 私はいつでも暇なので笑笑 (2019年8月5日 14時) (レス) id: 6053f0b386 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 紫蘭さん» ありがとうございます！ようやく続編です…！気長に待ってくださり、本当に感謝です！少しずつですが、きちんと完結させたいと思います！ (2019年8月4日 13時) (レス) id: cae178a2c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シュシュ☆☆
| 作者ホームページ：
作成日時：2019年3月31日 12時
