【銀魂】光に焦がる虫

ストレート ページ3

ー土方サイドー



「ねえ土方さん」



そんな声がかかったのは、警察庁に呼ばれた帰りの
車の中でのことだった。





「最近どうなんです？例の女とは」

「ぶっ」



ストレートにもほどがあるんじゃないだろうか。

ここ最近はめっきりその話題を出さなくなったため
もう飽きちまったとばかり思っていたが。

ーーまさか、油断させといて一気に畳み掛ける
作戦なのか。どの道厄介なことに変わりはない。





「え？・・え！？トシに女ァァア！？」


「オイ総悟どうしてくれんだ」

「元はあんたの蒔いた種。どんな芽がでようが、
俺にゃ関係ねーですから」

「発芽させたのはテメェだろうが何とかしろ！」





よりにもよって、今日は近藤さんが一緒だ。
面倒が二倍。総悟本人は、知らんフリで
運転役に徹するらしい。にらめば口笛まで吹き出す
始末である。もうどうにもならない。







「どこの誰だ」

「誰でもねーよ。総悟の戯言だ気にすんな」

「ついにトシがなぁ・・」
「話を聞け！」





この事態を穏便に済ますにはどうするべきか

近藤さんは既に女子高生のテンションだ。
これを終結させるのは困難きわまりねェ。







「・・か、勘違いだッ近藤さん。以前の闇遊郭に、
また情報収集に出向いたってだけの話だ」


「え？」


「い、今他と並行して追ってる例の武器商人に
ついて洗ってる最中だ。それを総悟が勝手な方向に
吹聴してるだけなんだよ」


「え、そなの？」

「ったく、何でもかんでも信じんじゃねーよ」





嘘つき、と運転席から聞こえて来た声は
咳払いでかき消してやった。




「まあでも、トシもそろそろ腹括るときじゃ
ねーのか？嫁さん探しとか始める？」

「始めねーよ！大体何だよ腹括るって！」


「いい歳こいてあだ名が鬼ってのァ、確かにちと
イタイかもしれねーですぜ？改名するためにも、
丸くなれって話でさァ」

「余計なお世話だ！！」





大体、鬼とつけたのは俺じゃない。
そんなことは知るかという話。

ーーそれに、




(・・俺は侍だ)




ちらつく女の顔を振り払う。
刀を振るい、血を浴びた俺は、所帯をもつことなど
望めない。あの女にとっても、受け入れることは
必ずしもいいことじゃねーんだ。






「トシが惚れる相手かァ」




しんみりと呟いた近藤さんの頭には、
もしかすると、ーーー今は亡きあいつの顔でも、
浮かんでいるのかもしれなかった。

予想通り→←抑制剤

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