【銀魂】困惑必須の受愛物語

妖怪の住処 ページ22

一人の時間が、こんなに落ち着かないものだなんて。・・そりゃ、知らない土地だからってこともあるだろうけれど。



日が落ち、あたりが薄暗くなって来た時分、
ぶらついていた私は、先ほどの静かな並木道とは
一転、賑やかなところに来てしまった。

建物が立ち並ぶ街。提灯が赤々と道を照らし
どんちゃん騒ぐ人の声が聞こえる。







「ーーッ、」
「おわっ、・・と、ワリ」





そんな中、人を避けつつ歩いていた私は、
どうやらその中の一人とぶつかってしまったらしい

男性は、よろついた私の腕を支えた。



「すみません」と顔をあげれば、赤い瞳がこちらを
見下ろしていた。提灯の明かりにその人の銀髪が
よく映えていて。








「ーーーオネーサン、見かけねェツラだな。
ここの住人じゃねーだろ。若ェ女が一人で夜に
こんな物騒なとこ歩いてちゃ、いつか食われるぞ」


「・・そういうものですか」

「そーいうもんなの」




まさか、ここは妖怪の住処とでもいうのか。
物騒なところ、食われる、そんなワードから連想できるのはそういう場所だけだった。

訝しげな表情の私に気づいたらしい男性は、
また口を開く。






「ここは歌舞伎町。まあ見ての通り、騒がしくて
ガラの悪ィとこだ。盛ってる野郎は多い割に、
残念ながら女にいたっちゃ死に損ないのババアか
怪力のメスゴリラがいいとこだからな。・・あんた
みてーな綺麗なねえちゃんが一人でフラついてっと
すぐとっ捕まるぜ」



「・・そうですか。随分やんちゃな街ですね」

「そうだな。・・まあ俺にとっちゃこれくらいが
住みやすくていいんだけどよ」




お堅い良い子ちゃんは性に合わねェ、と。



まあ確かに、少し心地いいかもしれない。
みんな、自由な感じで。


野蛮は目に余るけれど、たまに羽目を外すってのは
もしかすると嫌いじゃないかも。








「ーーーで、どーよ？色々教えてやった代わりに、
暇なら、今から一杯いかね？」


「はい？」


「心配すんなって、俺はそこらの盛り狼と違って
紳士だからよ。その代わり、・・あんた見たとこ
良さそうな召し物纏ってるし、金持ちだろ。
ちょっと奢れ」

「狼でなくとも、あなたが下賎な輩だということにはかわりなさそうですね」




見ず知らずの女に酒をたかるとは。
どういう神経なのか。とんでもなく図太いのかも。





「ーーその様子じゃ、特に予定もねーんだろ？」

「まあ、そうですね」





お酒なんて、いつぶりだろうか。

まるで中学生→←いつから、

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