【銀魂】困惑必須の受愛物語

地を踏む ページ19

私たちの船艦は、久々にその体を休め、
足を地につけた。

ーーー私たちも、久々に地を踏んだ。









「地球・・、」



見渡す限りの青空。ちらほらと見える雲に、
太陽が見え隠れする昼下がり。

以前のように白に覆われているわけではなく、健康的な茶色の地面に、草花がゆらゆらと揺れていた。






「今は、ーー秋らしいな」

「副団長、お疲れ様です」


「有休もらったんだってェ？ったく呑気なもんだな
俺はこれから交渉会だってのによ」


「別に自己提案じゃないですからね」




団長が言うので仕方なく、と。

そんな建前に、「可愛くないな」と後ろから
言葉を挟んできたのは、団長本人だった。






「可愛くなくて結構です。ーーそれより、出発は
いつですか？」

「2日後だ」




２日、か。

正直、何をしようなんてアテはない。
ただいろんな景色を、風景を見たいと思った。

この綺麗な空の下には、どんな暮らしが広がっているんだろうか。






「ーー気をつけてね、A。地球人は弱っちいケド
ずる賢いンだ。女が一人で歩いてたら、どうなるか
わかったもんじゃないからネ」


「馬鹿ですね。私も不本意ながら夜兎ですので」





チンピラを伸す実力くらいはあるはずだ。






「そうだった。ーーAは案外強いんだった」





悪戯めいた笑みを浮かべた団長の髪が、風に揺れる

ーーー出会ったときから、このオレンジの髪は
なぜだか、好きなんだ。燃えるようなそれが、
猪突猛進な彼にぴったりで。









(・・ッ、バカみたい)





心地いい風。暑くもなく寒くもない。
いつまでも中に身を置いて入られそうな空気の中
私は手始めに、再度深く、地球を踏みしめた。

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