いい街 ページ18
外は快晴。ばりばりのお散歩日和というやつだ
背伸びを一つすれば、隣で銀さんが大きなあくびを一つ漏らしていた。
そろそろ初夏すら感じさせるこの日照り、匂い
・・・何とも心地いいではないか。
「ーーーうし、そろそろ満足したか?
したよな、んじゃ戻ろうぜ」
「何言ってるんですか。
まだ外に出て1分も経っていませんよ」
「人間は日光浴びすぎると溶けちまうんだぞ。
わかったらさっさとソファでゴロゴロしよう」
「もっとマシな嘘ついてください」
嘘にもなってない嘘である。
こんな堕落した生活を送っていれば、
いずれ肥満体型に陥り、後悔するに違いない。
若いうちから適度に体を動かすことは、将来の
体型維持、そして健康維持に役立つのだ。
「ーーーそれにしても、・・こうして外を歩いていると、歌舞伎町も案外平和ですね。偏見ですけど、少し怖いイメージがありました」
「まあ、平和とは言い難いけどな。夜になりゃ
それなりの集団が目立つようになるしよ」
「へぇ、」
人はみんな愛想が良くて、話しやすい。
すでにこの街に愛着なんてものが湧いてきているのだから、ここは私の性に合っているのかも
しれない。
「・・・私、この街に住もうかな」
「あぁ?んなの、ヅラが許すわけねーだろ」
こんなにうららかな陽気の中、新緑の芽吹きを
感じさせる風が、私の横を通り過ぎた。
残り少しとなったわずかな桜の花びらが、頬を
かすめ、地面へと落ちていく。
「とても素敵な街だと思います、私」
そーか、と一言。やはりテキトーなそれが
銀さんの口からあくび交じりに吐き出された時
「ーーー残念ですが、この街に住むことは
叶いません、A様」
「・・・ッ、」
静かで、比較的人通りも少ない細道。
そこに太く低く響く男の声。ーーその途端、
私たちの周りは、数人に包囲されていた。
「・・・銀さん、この人たち、」
「あー、どちら様っすか。突然刀ぶら下げた、男に囲まれるとか望んでねーし。こっちも
忙しいんでアポとって出直してくれます?」
「誰だ貴様」
「・・・A様、旦那様がお待ちです。
屋敷へ帰りましょう。ーー挙式も近日ですよ」
銀さんの背中へ逃げながら、口元をつぐむ。
この人たちは、峯田のよこした捜索班か。
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シュシュ☆☆(プロフ) - さざんかさん» 読んでくださり、ありがとうございます!かなり前に書かせていただいたものなので、今も読んでくださる方がいて嬉しいです! (2022年12月29日 9時) (レス) id: e568b5485d (このIDを非表示/違反報告)
さざんか(プロフ) - 更新お疲れ様でした。投稿してくれてありがとうございました。本編でも、特に番外編でも涙を流してしまいました。とても素敵で感動的で、桂小太郎がさらに好きになりました。出会えてよかったと思える作品です。 (2022年12月11日 4時) (レス) @page44 id: 20c7caba78 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 亜麻音さん» ありがとうございます!楽しんでいただけて嬉しいです!! (2021年8月5日 20時) (レス) id: 226626a196 (このIDを非表示/違反報告)
亜麻音 - 私ズラ大好きなんで、この話見つけたとき凄く嬉しかったです!素敵なお話をありがとうございました。 (2021年8月5日 15時) (レス) id: 0cca164e31 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ゆかさん» ありがとうございます!確かに桂さんオチ少ないですよね…!私も書いててとても楽しかったので、また書かせていただきます! (2018年3月13日 11時) (レス) id: ad40a3ccd1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シュシュ☆☆ | 作者ホームページ:
作成日時:2017年4月11日 0時