【銀魂】恋い者

かもしれない ページ27

受け止められた拳をみて、
私はチッ、と舌打ちをかます。



「そこは食らいなさいよ！
ほんと空気読めないよねあんた！」


「・・ならせめてカブトムシくらいの力は
ぶつけてほしいもんだ」

「私のパンチがカブトムシ以下だって言いたいのかこの野郎！！！」





今日は口が悪いなんて言わない。
こいつが不甲斐なさを前面に見せてくるのが
いけないと思う。うん。







「ハァー・・全く柄にもなく何言ってんだか」

「ほんと、その通りだ」





柄じゃない、なんて呟いた声も弱々しくて。
何だか調子が狂ってしまう。







「ーーーま、俺が柄じゃないことをしたり
言ったりする時は、大抵お前のせいだケドネ」

「責任転嫁はやめろっての」






吉原の街のど真ん中で繰り広げるやりとりでは
ない気もするが、今はそんなこと御構い無しだ

周りの奴なんて、不思議と気にならない。



ーーー私が向き合ってるのは、前にいるこの男








「・・返品不可、か。それなら仕方ないな」




クスリ、と笑いを一つこぼしたそいつは、
そんなことを呟いた。

行き交う人たちの声がどれだけ大きくても
神威の声を的確に拾い上げてしまうのだから、
私の耳もとうとう腐ってしまったのかも
しれない。・・そして、








「ーーーこれからも、俺のもとで
飼ってやることにするヨ」





そんな言葉に、ただただ嬉しいという感情を
抱いてしまう私の頭は、とうとうご臨終なさったのかもしれない。








「そんなら仕方ない。・・ーーとんでもない
いわく付き物件だけど、返品されないなら
引き続きそばにいるしかないね」





ついでにいえば、ーーこんなことを発言して
しまっている私の口は、とうとう狂ってきたのかもしれない。

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