【銀魂】オトコ×オンナ

見据えた ページ42

ー沖田サイドー




Aは、偶然出くわした旦那に奢れと
そそのかされ、共にファミレスへ入り。





『ーーーそこで、お前の浮気現場を
目撃したってわけだ』





既に街灯の明かりに、頼りなく照らされる
暗くなった夜道。

昼間、旦那が語った言葉が脳裏に蘇り、
その道を急ぐ足が速まる。






『見たところによると？かなりの美人と
歩いてたみてェじゃねーか』



面白がっているであろうその野郎の顔を浮かべ
舌打ちを一つこぼす。








『あいつ、それ見てなんていったと思う？』




何となく、予想はできた。








ーーーー"何してもあいつの勝手だし"







・・それが、俺を気遣って、ーーその時に俺の
隣にいた女を気遣って発した言葉だと、一瞬で
理解できた。


先日、あいつの俺に対する態度がおかしかった
のは、このせいであったか。









「・・・あんだけお人好し極めて、
よくこれまで生きてこられたな、あいつ」






どっかで悪商人にでも騙されてそうな勢いだ





(ーーいや、)







ただのお人好し、ってわけでもねーか。

・・・その中に入り混じっているのは、
凛々しさと警戒心。冷静に周りをみる判断力



奉行所の重役に女を起用するなんざどんな
血迷いだとバカにしていたが、


ーーーいつの間にか、認めちまっていた。







(・・それくらい、あいつにゃ器量がある)






今日の月は三日月だ。ぼんやり浮いたそれを
見上げ

ーーいつぞやに、Aと見上げた月のことを
思い出しながら。








『早く誤解といとけよ。ーーあいつ、それ見た後からは終始心そこにあらずって感じだったからな。ありゃ電柱に突進しねーとも限らねェぞ」






旦那の言葉は、それで締めくくられた。

それだけを伝えるために、わざわざ陽気のいい
真昼間を費やしたのだ、あの男は。









「ーーー旦那も、存外お人好しってこった」





だがまあ、・・Aのために動くのが
あの野郎だったという点においては、
納得しろというのは、無理な話であるが。








「勝手に誤解して、勝手に気遣いやがるたァ、
・・・俺の無許可に何やってんでィ、あの女」






見えてきたのは、あいつの住むアパート。

特に綺麗でも汚くもない、ごくごく普通のそれ
を、ギラリと見据えた。

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