【銀魂】オトコ×オンナ

お人好し ページ4

「無事でよかったです姐さん！」

「ほんとにその通りです！・・で、早速で悪い
んですけど、この資料お願いします」

「容赦なしか」




そんな会話をしたのは、私が退院して
やっと職場復帰となった日のことである。

手渡された資料に苦笑しつつ、デスクに向かう






(ーーー仕事、やっぱ好きだな)




働けなかった約一週間。・・離れてみてわかる
大切さというやつである。ーーと







「・・・姐さん」

「ん、何」




微妙に笑いを堪えるような声。
振り向いてみれば、部下の手に握られた受話器

案の定、ニヤけを含んだ表情で
こちらにそれを差し出していた。






「・・・・何よその顔は。潰されたいの」
「男性からの電話ですよ、姐さんに」






私の脅しは無視の方向・・、というか聞こえて
なさそうである。それより勘ぐりの方に
意識がいってるらしい部下。前にもいったが
やはりこいつはチェリー拗らせてる。

男からの電話というだけで変な想像が膨らむ
のだから私の予想は当たってるに違いない


多少の憐れみを込めて部下を見たあと、
受話器を受け取って。







「はいもしもし」

『あ、どーも。退院おめでとうございやす』

「・・・切っていいですかいいですよね」
『我慢しろ』




どこかデジャヴ感を感じるその会話を終え
その口調から電話の主の正体を知る。

それと同時に、ーー跳ね上がる心臓




「あのね、ここは職場の電話なの。あんたの
暇つぶしじゃないの」

『ひでーや。俺がいつも暇つぶしにお前を
使ってるみてーじゃねーか』

「一語一句寸分の狂いなくその通りだろうが」




ある時はリストの更新を私に押し付けようと
したり、またある時は私の療養施設を休憩所と
称し、サボりのために入り浸ったという前科を
忘れたとは言わせない。







『・・まあいいや。
お前ェ、明日の夜暇か？暇だよな』

「は？」




何その暇だと確定している口調は。
私の夜？暇なわけがない。





『暇ならちょいと付き合ってもらいてーことが
あるんでィ』

「あくまで暇という仮定で話を進めるのね
とんでもなく腹がたつ」




まだ答えてないよ。暇か？という問いについて







『定時は』

「は？6時だけど」
『んじゃ6時に迎えにいきまさァ』

「は、え！？ちょ、無理だってそんな急に、」
『ーーテメェは、どうせ断れねーよ』




"お人好しだからな"、と。ーーそれを最後に
切れた電話口からは、ツーツー、なんていう
機械音しか聞こえなくなった。

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