【銀魂】一生ものにつき

切なげに ページ12

「ーーーえっと、どうかな？」


少し迷った挙句、苦し紛れにそんな質問。
同時に立ち上がってくるりと一回転。







「・・・・まあ、いいんじゃねーのか」



ぽつりと聞こえた返事に目を丸くする。
少し照れたように視線をそらしたトシを
思わず覗き込んだ。





「え、ほんと？」


「・・・テメェにそんな趣味があったとは
知らなかったがな」




新しいタバコに火をつけながら苦笑する
その人に、緊張がほぐれて行く







「ーーーだが、・・もうその格好はするな」
「え？」




正反対の鋭い声が飛んできて、再び背筋に
緊張が走る。

一瞬キョトンとしてしまうが、次に来たのは
小さな焦り。






「えっと、・・やっぱ似合ってない？」
「そういう意味じゃねェよ」


どういう意味なのかわからなくて、
首を傾げる。そんな私の意図を読み取ったのか
その人が付け足すように口を開く








「・・・こんな男所帯でんな格好してると
いつか襲われるぞってことだ」

「っ、」





静かに紫煙をふかしたその人は
少し口ごもりながら、早口にいいきったのだ








「えと、それはその・・」

「さっきだって無防備に眠りこけやがって。
ーーー・・お前、わかってねーだろ」

「ッ、・・トシ、わ、」





突然、大きく身体がゆれて。

トシによって強引に引かれた腕によって
体制が崩れたことに気づいた。





少し回転した視界には、・・眉を寄せたトシの
顔が、大きく映っていた。







「俺だってその野郎のうちの一人なんだぞ。
不用心に安心してんじゃねーよ」




トシが灰皿に乱暴に押し付けたタバコが
ジュッ、と小さく音を立てて。

だんだん速さを増す私の心音と混ざり合う。









「ちったァ警戒心もてよ。・・ーーー俺のこと
男だってちゃんと意識しろ」





鋭く強いその人の眼光が、切なげに揺れた

気持ちの合流地点→←雰囲気の違い

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す