【銀魂】好きだから・・・

ごまかせた ページ9

館を出た頃には、すっかり肌寒くなっていた。

吹き抜ける風が、私たちの頬を撫でる。







「パンピーってのァ、いっつもあんなクサい
ことしてんのかねィ。キザにもほどがあらァ」

「仕方ないじゃん。乙女はああいうモンに
キュンってすんだからさ」





まあ、流石に一つのジュースに
ストローが2本ってのはあまりないと思うけど







「ーーーまるで他人事だな」

「は？」

「まあAは乙女つっーか厄目か」
「死ね」





さっきの雰囲気を維持しようとか
そういう考えは無いのかこいつ。

厄目はお前だろ、とつっこみたくなって
その代わりに白い息を吐き出した。








「・・・寒ィか」

「別にー」





館から出た途端に離れて行った手には、
特に何も感じなかった。

仕方ないな、なんて自然と思っていた。
恋人だったのは、あの館の中にいた時だけ。






「・・俺らが普通の男女なら、
ああいうことしてたのかねィ」

「ハハ、それはないない。だって総悟が
普段からあんなことしてるとか笑える」

「それブーメラン式に自分に跳ね返ってんぞ」





たしかに。自分があんなことサラッと
しちゃったら気持ち悪いかもしれない。

少し想像して、すぐに笑いが漏れた。
だってやっぱキモい。









「ーーーでも、結構楽しかったかもね」

「・・・やっぱ楽しんでんじゃねェかィ」

「それブーメラン式で自分に跳ね返ってるよ」






結局、私たち二人とも楽しんでしまっていた
ということである。









(ーーー・・何という敗北感)





あのバカみたいな館に負けてしまったきがする
モヤモヤする。

あんなベタな恋人のデートが
ここまで楽しいとは思ってなかった。




・・・つまり結局、どんなに言い訳しても









．









(憧れてたってことかァ・・・あ、死にたい)






日に日に自大きくなるそんな自覚に
ふっ、と笑いを漏らす






「ーーー・・どうしたィ。
今日はいつもより表情豊かだな百面相」

「それ褒めてるの？」

「いや、引いてる」
「オイ」




繰り出したパンチはいつもと同じように
すかぶりして。

逆に頭にチョップを食らう。







「・・女に対してそういうのナシだよ」

「女ねェ・・・？」
「何そのジト目。むかつく」




前方に屯所がみえてきて。
とりあえず、・・ーーー今日はごまかせたかな

人でなし→←余計な願望

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す