短編集『あなたとWESTの物語』 (ページ17)

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「ごめん、電話…」

多分、あの人から

「もしもし…」

部屋を出てったAを見ながら

思った

何でお互い叶わない恋愛してるんやろうって

しんどいのに諦めること出来なくて

俺のこと好きにはなってくれないのに

見てくれないって分かってるのに

Aのことしか見えてない俺は

照「苦っ…」

一体何をしたいんだろう

照「高カカオすぎて苦すぎやねん…」

Aの思いは伝わってほしいって思ってるけど

落ち込んで辛くなってるのは見たくない

でも、もし万が一上手くいったら？

俺はどうなる？

何年も思ってきた相手が

よう分からん相手にとられたら

立ち直ること出来んのか

「ごめんね、ちょっと電話きてた」

照「そ、あの人から？」

「うん」

Aの顔見る限り悪い電話じゃなかったみたい

「チョコ食べたの？」

照「ん、食べてみ」

「…苦い、何これ」

照「Aが買ってきたんやろ」

「一番安かったし…いいかなって」

照「何やねん、ほんま」

「でも、甘いの苦手でしょ？丁度良かったじゃん」

照「後付けの理由やろ」

Aにとっても俺はそんなもん

他の人好きになった方が確実に楽なのに

照「やっぱ苦いな」

何でやろ

何かクセになる