#109 欲しいもの ページ15
オ「そろそろ本当に帰らないとね。
A嬢」
『ええ。ゼンに怒られちゃうものね？』
オ「ははは よくご存知で。
俺は来る時と同じ馬で帰るけど、あんたは？
馬車で来たんだっけ」
『うん。まだ馬車あるかしら』
オ「御者の方らに聞いてくるよ。待ってな」
『！ありがとう』
なんだか、すごく丁重に扱われている気がする。
気遣いが格好良い。
小さくなる後ろ姿を目でぽーっと追っていた。
しばらくして、A嬢ー！と遠くから呼ぶ声が。
オ「やっぱり馬車は全部出てるみたいだよ。
馬はまだいるみたいだけど...あんた乗れるの？」
『の、乗れない...』
なんてね。本当は乗れるんだけど。
だって こう言ったらオビはきっとｰｰｰ
オ「あー...じゃあ、俺の後ろ乗るかい？」
『...うん。お願いします！』
側にいたくてついた嘘なら 許される...？
なんて悪い事考えながら オビの手を借りて馬に乗った。
オ「捕まんないと落ちるよ。ほら！」
『え』
ぎゅん！といきなりスピードを出す。
お腹に手を回して必死に捕まった。
私とは全然違う、広い背中に頭をくっつける。
『ふふ！ふふふっ』
オ「乗馬中は舌噛むから気をつけなよ、A嬢」
『あ、はい！』
せっかくのデートの日。
最後の思い出が薬室で なんて御免よね。
ぎゅっとオビに体重を預ける。
また、シトラスに似た爽やかなオビの匂いがした。
夜道を颯爽と馬で駆け抜け、ウィスタル城に帰った。
＊・＊・＊・＊・＊
オ「じゃあね、A嬢。
今日はベルトとペンもくれてありがと」
『いいえ、お返しって言ったでしょ。
私こそありがとう、楽しかったわ』
馬を物凄い速さで走らせたからか、
あっという間に帰城した。
オビは部屋に戻る前にゼンのところへ行って、帰った事を伝えに行くらしい。
『ねぇ、オビ。夕方...私が欲しいもの聞いた時、
ベルト以外にも何か言いかけた？』
オ「さすが。気付くねえ、あんた。
俺の欲しいものは...A嬢。
あんたとの時間だよ」
『！！』
オ「期限付きなのは仕方ないから、
とにかくもっといっぱい話したいなーと思って！
まぁ、今日1日でも だいぶ仲は深まったよね」
嬉しい。そんな風に思ってくれていたなんて。
『うん。私も！もっとオビとの時間が欲しい。
これから...時間ある時 会いに行ってもいいかな？』
オ「当たり前だよ。俺も会いに行きます、A嬢」
また明日、ともう何回目かの挨拶をした。
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Mizuna(プロフ) - 更新頑張って下さい！再開するまでお待ちしております！ (5月16日 11時) (
レス) id: 0ed3c8b7be (このIDを非表示/違反報告)
りち(プロフ) - 琥珀猫さん» 応援ありがとうございます！コメントまで下さる方貴重なのでとっても嬉しいです！頑張ります👊 (2023年2月13日 18時) (レス) id: 20e5e2012a (このIDを非表示/違反報告)
琥珀猫(プロフ) - 続編ありがとうございます！ 更新頑張ってください応援してます！ (2023年2月13日 14時) (レス) id: accff0f67d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りち | 作成日時：2023年2月13日 12時
