#92 ウィスタル大晩餐会料理 ページ44
ドサッ
机いっぱいに広げられた食材。
白雪はささっと三角巾を頭につけている。
(私は白雪より少し髪長いし...まとめた方がいいわよね)
私もいそいそと髪を下の方に ひとつ束ねる。
オ「第二王子付伝令役 オビと...」
白「宮廷薬剤師 白雪、」
『Aの！』
オ「『王城ウィスタル大晩餐会料理〜〜〜』」
始まった楽しいイベント。
まぁ私、お料理はお手伝いぐらいしか出来ないのだけれど
白「私 酒場料理しか作れないよ？」
オ「いーのいーの。むしろ好物」
『私もお手伝いしか...けど、食後の甘いものは任せて！』
オ「頼もしいねえ。A嬢のスイーツ期待してるよ」
トタタタタ
ダンダンダン
サッ
ジョワーーー
オ「タパロカはソースに入れるより、パン粉に混ぜた方がうまかったんだよねえ」
トマトを切る包丁さばきに、
お肉に施す仕込みに、
効率よく素早い手際に、
私と白雪は目を見張った。
(す、すごい...まさかここまで出来るとは)
オビが料理する姿は、悔しいほどにかっこいい。
白「わ、私も酒場の娘！何が食べたいですか」
白雪も負けじと頑張ろうとしている。
オ「海老とイモのラコリス煮」
『おぉ！いいわね、私もそれ好き！』
手を動かしながら話していると、良い情報が聞けた。
オ「主とミツヒデさんが たまに紅茶に砂糖ガバガバいれて飲むんだけど、」
『ふむふむ』
オ「その時の木々嬢の顔がもうね」
『なるほどぉ...
では！食後のデザートは甘いのもさっぱりしたのも、
どっちも用意しようか』
白「わぁ！1種類だけじゃないなんて豪華〜」
オ「あんた、ほんとデザートなら何でも作れんだね」
『うん！！』
満面の笑みで答えた。
(さて、と。作るもののイメージも決まったし、
そろそろ作り始めるかな？)
途中から、2人に仕上げや盛り付けをお願いして
私はテキパキとデザート作りに入る。
オ「よし出来た！そっちはどうだい？A嬢」
『あともうちょいかかりそう...！』
オ「んじゃ先に...料理だけ、薬室長どのに
助手に呼ばれちゃったリュウ坊のとこ届けますか」
白「それなら私、薬室に出来たの包んで届けて来るから
オビはAの事待っててあげてよ。
ワゴンごと持ってったら、A 運ぶの大変だと思うし」
『！！白雪、ありがとう』
オ「んじゃ、お嬢さんに任せるよ。リュウ坊によろしく」
こうして、また少しの間 2人きりの時間が出来た。
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作者名：りち | 作成日時：2023年1月25日 18時
