【赤髪の白雪姫】紅く色づく銀世界Ⅱ (ページ41)

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#89 スタートラインページ41

『ゼン！』

部屋を出ると、既に本人がいなかったため
朝一番にゼンの元へと向かう。

『聞いたよ。白雪...やっぱりあの後熱が出たんだって？』

ゼ「ああ。けど大丈夫だ。大事には至ってない」

ミ「オビの話だと、寝不足と気を張ってたのとで
熱が出ただけって事だから」

木「オビの夜歩きが役に立ったね」

『な、なる程...オビが白雪の事運んだんだね』

胸の痛みには知らないフリをした。

(心狭いわよ私...！体調崩してたんだから。
白雪が大事なくて何よりでしょう)

シ「あっ！ゼン殿下...！！」

(あれは...シキトさん、だったかしら)

彼は私が来る前、ココクの見張り台で行われた鳥使いの
考試の際に活躍した兵だそうだ。

シ「聞きました。白雪どのは大事ないのですか...！？」

ゼ「熱の事か？オビに聞いたのか」

シ「えっ...！ご存知ありませんでしたか。
昨夜から噂になっております。その...白雪どのが

白雪どのが王宮内で行き倒れていたと...！」

『い...行き倒れ.........』

シ「貴方は...Aどのですね。

Aどのも書庫で役人相手に...ただ者じゃあないと噂されておりますよ」

『え！？私もそんなに！？！？』

＊・＊・＊・＊・＊

白雪と合流して、話題は再び噂の事について。

ゼ「Aの方でもそんな事が起こっていたとはな」

木「あの時の逞しさは私も眩しいものだったよ」

ミ「噂ってのは大げさに広まるもんだ。
白雪もAも、気にする事ないさ」

『は、はい...』

ゼ「ありがとな、A」

思ったより大事になってしまったが、
自分の発言を悔やんだりはしていない。

オ「お嬢さん達の事だから、
名乗る機会ならまたあるんじゃないのかい」

木「それもそうだね」

ゼ「かっこよくな

...な、白雪どのにAどの？」

白「『の、望むところよ/です』」

白「と言っておきます」

オ「.........あ！A嬢！」

オビにちょいちょいと呼ばれる。耳を貸してって仕草で。

オ「お嬢さんが深夜、薬室に向かったって兵の人からの
伝言で聞いてさ。

たまたま外にいたから、俺が送ったんだ」

『？？うん。けど...わざわざ私に、どうして？』

オ「！！い、いやーあんたにはちゃんと言っておきたかったっていうか...」

『？そっか。白雪の事ありがとね、オビ』

そんなこんなで、ウィスタル城東の一角に移ってからの
波乱の勤務1日目は無事(?)終わり...

6人で過ごす新しい生活が始まった。