【赤髪の白雪姫】紅く色づく銀世界Ⅱ (ページ40)

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#88 あんたのおかげページ40

＊・オビside・＊

オ「俺さ、前に比べてだいぶ平気なんだよね。

そりゃ確かに、2人の事を応援してるとはいえ複雑な時もあったけど...

今は全くそう感じることも無くなったんだ」

『そう。それなら良かったわ』

オ「あんたのおかげかもね」

『え？私！？私...オビの為に何かした覚えがないのだけれど』

オ「なんか...俺もよくわかんないんだけどさ、そう思うんだよ。話聞いてくれたからかな。

事情知ってる人がいると落ち着く、とかね。

俺が前より平気になり始めたの、あんたと知り合ってからだし」

『そっ、か...。まあ何にせよ、
オビが苦しくないなら私はそれが1番よ。

それじゃあね、おやすみ。帰り道楽しかったわ』

オ「！俺もだよ。また明日、A嬢」

『ふふふっ』

オ「どうしたんだい？」

『"また明日"って言葉が少し嬉しくて』

！！

ｰｰｰｰｰｰｰｰｰもう、これ勘違いでも何でもないだろ。

(完全にときめいてるよね、俺...)

オ「これからは毎日会えるよ。ほら中入んな！おやすみ」

『おやすみなさい』

A嬢に就寝の挨拶をして一度外に出た。

いつも通りの夜歩き。その最中ひとつの考え事をしてた

オ「俺が前より平気になり始めたの、あんたと知り合ってからだし」

自分で言った言葉。本当にこの通りだと思った。

出会ってからずっと A嬢の事は気になっていた。
秘密が多いから...？それだけではないだろう。

惹かれていたんだ、きっと。

あの人の色んなとこを見て知って...その全部に、徐々に。

逞しくていつも格好良いのに、素のA嬢は
表情がコロコロ変わって面白かったり

よく笑う人なのに、弱い部分もちゃんとあったり

笑顔ひとつとっても、色んな感情が込められてて...

(俺を呼ぶあの人の声が、心に響くのだって納得だよ)

だって、俺はA嬢が好きなんだから。

お嬢さん以上に好きになってしまったんだから。

考えれば、もうしばらくお嬢さんの事ではなくA嬢のことばかり考えていた。

A嬢どうしてるかなーとか

A嬢いつ来るんだろうなーとか

A嬢との時間楽しいなーとか

俺がこんなに鈍い人間だったとは。
気付くのこそ遅かったが、気持ちがやっとまとまった。

("あんたのおかげ"か。全くその通りだねえ...)

あの人に出会えて良かった

そう、心から思った。

(もう夜も遅いし、夜歩きも終わりにして戻ろうか)

「オビどの！」

しかし扉の前で兵に呼び止められた。