【赤髪の白雪姫】紅く色づく銀世界Ⅱ (ページ35)

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#83 心に響くページ35

＊・オビside・＊

『オビ！私も行っていいかな。
私も周辺の造りとか、足場とか知っておきたいの』

A嬢の誘いで、2人で庭園に行くことになった。

(こうやってゆったり過ごすのも久々だねえ。
A嬢、今日ずっとガチガチだし...何話そっかなー)

普段なら考えないような事を考える。

言葉選びには注意するけど、割と思ったことはすぐに言うタイプだからね、俺。

オ「それにしても...驚いたよ。あんた貴族だったんだね」

さっき単純に思った事を伝えた。

『え、ええ。そうなのよね。
てっきり、卯の花病の話した時に話したつもりでいたわ』

(隠すつもりがあった訳ではないんだな)

オ「まー今思えば、両親のこと"お父様" "お母様"って
呼んでるし、言葉遣い確かにしっかりしてるし、
貴族って言われて納得だね」

『あはは...よくそこまで気が付くね』

オ「まあ、あんたのことだし」

(あ...これだと
"それ程あんたのことよく見てる"って意味になる？

ていうか、俺ほんとにそうだったりして...)

隣を見ると、俺の顔を覗き込むA嬢が。ぎくりとする

(この仕草...酒場の時と一緒だ)

再び真っ直ぐ視線が合う A嬢の朱色の瞳。

あの夜のように心臓が鳴る。

オ「......ねぇ！A嬢。
じゃあさ、あんた踊れたりするのかい？」

『舞踏？覚えてるか自信はないけど...
身体に染み付くくらいはやったから、出来ると思うわ』

(さすが貴族)

オ「じゃあ踊ろうよ。まだ緊張ほぐれてないみたいだし」

A嬢が踊ってるとこ見てみたいし。

にこっと笑顔で答えてくれた。
"オビどの"なんて言ってニヤッとした笑顔も向けられる。

手をとりあってくるくる回った。

『舞踏をこんなに楽しいと思ったの、初めて！
オビ、ありがとう』

嬉しい事言ってくれるねえ。

それにｰｰｰやっぱりこの人の、自分の名前を呼ぶ声がなんか心に響く。

(俺も想像以上に楽しいや)

オ「いえいえ。俺も楽しいよ！っと」

A嬢の華奢な身体をふわっと持ち上げて更に回った。

『もう！何やってるの』

なんて言われてしまったけど、声色も表情も嬉しそうだ。

(ほんと何やってんだか)

自分でも、そう思ってるよ。

オ「いやあ。なんかあんまり楽しいから、つい勢いでね。
これから半年間、またよろしくね A嬢」

『ええ。こちらこそ...よろしく、オビ』

呼ばれた名前ｰｰｰその声が、笑顔が、またもや心に響いた。