【赤髪の白雪姫】紅く色づく銀世界Ⅱ (ページ26)

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#74 ヤワじゃないのページ26

ぽてっ

『あっ...！』

ベシャッ

よろけた私は、小さな男の子にぶつかってしまいｰｰｰ
その男の子を転ばせてしまった。

男の子は今にも泣き出しそう。

『ごめんね！だいじょ...』

男「チッ空気読めよクソガキ！」

『なっ...！！』

(クソガキ！？最っ低。きっとこっちが本性ね)

大人の男に睨まれ、男の子が大きな声で泣き出した。

掴まれた肩。
その手を思いっきりひっぱたいて振りほどく。

『大人しく聞いてれば...っ！貴方！！
何回も断っているのに、しつこいです。

それに......
こんな小さい男の子を泣かすなんて有り得ません！』

男に言いたかった事を全部言ったあと、
転ばせてしまった小さな男の子の元へと駆け寄る。

『ごめんね......！ぶつかって本当にごめん...。
大丈夫？怪我してない？』

しゃがんで身体を起こしてあげる。
良かった、特に怪我はしてないみたいだ。

『お詫びに、何か屋台で買ってあげる...
欲しいものあったらなんでも言ってね？

あ、お姉ちゃんが居たのね。貴方もおいで。2人分買うわ』

男「おい。待てよ女」

『......』

男「無視してんじゃねぇ！恥かかせやがって...！

こっち向け！！」

声に躍動感があるから、危険かもと思ったら、
いきなり飛んできた右手の拳。

左手で受け流し、私も拳を構える。

『ごめんなさい、私そんなにヤワじゃないの。

今ここでやり合おうって言うんなら、
いくらでも相手になりますよ』

予想外の出来事に血の気が引いて、注目の的になっているのにやっと気付いたのか、男は舌打ちをして

男「くそっ！覚えてろよ！」

とだけ言い放ち、去っていった。

＊・＊・＊・＊・＊

そのあと、一部始終を見ていた屋台のおじさんから

「姉ちゃん、さっきのしびれたぜ！お代はいいから！！」

と3人分をタダで頂いてしまった。

クラリネスは優しい人が多いけど、お酒が入ると
変わる人も居るから...注意しなきゃね。

姉弟とは別れ、ひとりで2件ほど屋台を回ったのち
港の宿へと再び歩き始め、無事約束の宿に到着した。

ユ「遅かったね！さ、一緒にお風呂入ろっ」

入口の所でユズリが出迎えてくれた。
飛びついて『ただいま』と言い、中に入っていく。

ユ「えー？なになに？ユズリさんの事恋しかったの？」

『うん。少し』

ユ「よしよし」

ああいうのは、簡単に負けはしないけど
怖くない訳ではないから...皆と合流出来て一安心、ね。