お面 ページ6
「だ、大丈夫か！ おいっ！」
目を開けると、病院だった。あんなに刺されて生きている自分。安心したのもつかの間、家族の事が気になった。
自分が生きているんだ。もしかしたら母も妹も……
「お母さんは、お父さんは？ みかは？」
「……残念だけど」
嘘だ。血の気がひいた。だって、自分が生きているのに。なんで、なんで。
「君は自分の個性で助かったんだ。覚えているかい、君は自ら身体を治したんだ」
そこから聞かされた話に、Aはただ呆然とした。
*
身体のコピー、それが私の個性だ。身体の状態を記録し、コピーすることが出来る。
幼い私は無意識にこの個性を使った。私は顔をめった刺しにされたため、顔の状態をコピーすることが出来なかった。だから、私は妹の顔を自分にコピーして治した。
鏡で見たとき、私は私でなかった。どうみても妹の顔で、妹だったと錯覚するくらい。
私はお祖母ちゃんに引き取られた。優しく迎えてくれたが、私には自分が生きていていいか気がかりでしかなかった。
「お祖母ちゃん、Aの顔ないよ。これ、みかの顔だよ」
泣きながらお祖母ちゃんにすがりつくと、優しく諭すようにお面をくれた。
「AはAだよ。ほら、これをつけてごらん。こうすればみかじゃなくてAだ。」
それから私はこのお面を外せない。個性社会のお陰で、変な目では見られるがあまり気には止められない。
お祖母ちゃんが亡くなっても、私はお面を外すことは出来なかった。
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ヨシ - ずっと気になってて、一気に読んでしまいました！（笑）続きを楽しみに待ってます！頑張ってください！ (2018年12月27日 16時) (
レス) id: 26236bbcfc (このIDを非表示/違反報告)
コタリン(プロフ) - すごく、面白いです！コピーという能力がこの作品を引き立ててると思います。続き待ってます！ (2018年12月9日 15時) (レス) id: a313453383 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くず湯 | 作成日時：2018年12月2日 0時
