4 ページ4
「勝己、俺は怒っている」
「……」
「お前が今日爆破したのは少女漫画じゃない。俺のセーラームーン。１巻だ」
「いや、結局少女漫画じゃねぇか……」
「しかも表紙の月野うさぎの顔が完全に燃えてしまった。前までこれで心を萌やしていたのに」
「上手くねぇからな」
「どうでもいいけどスーちゃん、セーラームーンはリボン連載じゃなくなかよし連載だよ」
黒こげになった漫画本を勝己は忌々しげに見た。大体悪いのは勝己でなく勝手に人の机に物を入れる鈴木だ。そんな事誰でもわかる。
心底どうでもいいツッコミを入れる出久に舌打ちをうちながら、勝己はどうするべきか考えた。この男、めんどくさいようで根は単純なはず。
「A、見ろ」
適当に廊下を歩いている女子を指すと、食いつくようにそちらを見た。
「あれは隣のクラスの宇佐美さん！ うさぎの個性を持ち、愛らしいルックスが堪らない！ しかも寂しいと死んじゃうとか可愛すぎ……って、ハッ!」
鈴木は女が異様に好きである。おそらく学校中の女子のデータは頭に組み込まれている。歴史の偉人は覚えてないくせに。
「可愛い女の子を見たら怒りが静まったぜ……悪かったな勝己」
「二度と話しかけんな」
表紙が焦げた漫画本を持ち、鈴木は出久と席に戻っていった。あの男といると調子が狂う。出久がいても気にならないくらいに存在の主張が激しい。
「セーラームーンってなかよしだったのか。来週はなかよしを買おうかな」
「えっ、僕はリボンがいいな」
「わかった、ちゃおにする」
意味のわからない会話に、勝己の苦労は募るばかりだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 846人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
レイン - 夏樹さん» それな (2019年1月14日 6時) (
レス) id: a956189dd3 (このIDを非表示/違反報告)
ひな - 面白いです！更新頑張って下さい！ (2018年12月25日 17時) (レス) id: 298df37785 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 超おもろい (2018年12月13日 16時) (レス) id: 0f6b459a4e (このIDを非表示/違反報告)
夏樹(プロフ) - 血液凍るなら、心臓あたり凍らせれば一発じゃん！ロボも電気回路とかメモリーチップ凍らせれば勝ちゲーじゃね？轟は細やかなコントロール(個性に頼ってた結果)出来ないらしいけど。 (2018年12月8日 2時) (レス) id: c6eef1b13e (このIDを非表示/違反報告)
レイン - 自分の姉さんは売っちゃだめだろww (2018年12月3日 7時) (レス) id: 21ac21fda6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：くず湯 | 作成日時：2018年11月27日 19時
