人魚姫 ページ3
Aは図書館に来ていた。家にいたくないし、かといって行くところもない。なので仕方なく図書館に行く。
いつもは勉強したり、音楽を聞きながらボーとしていることもあった。が、今日は何となく物語が読みたくて適当に本棚を眺めていた。
ふと、目に入った本。人魚姫と書かれた本は、何故か棚の一番下、一番端に追いやられていた。
気になって手に取ってみる。それは埃を被っていて長年読まれていないようだった。
中身は普通の人魚姫。私が知っている内容とあまり変わらないものだった。しかし身を投げたラストページのあとに、まだいくつかページがある。
めくってみると白紙だった。不思議に思って首をかしげると、段々文字が浮かんできた。
『あるところに、とても優しい少女がいました』
黒いインクが滲みながら文字を形成していく。気味が悪いが、先が気になり手を離すに離せなかった。
『少女には優しい兄と姉、そして親がいます。しかし父は厳しく、いつも兄をいじめています。』
ドキリとした。まるで自分のことだ。偶然にしては可笑しすぎるし、恐ろしい。
『ある日、父に追い詰められた母は兄に煮え湯を浴びせました。少女はその様子をずっと見ていました。立ちすくみ、動けなかったのです。何故なら……』
呼吸が荒くなる。嫌だ、見たくない。今でも鮮明に思い出す、あのときの事。
『初めに煮え湯をかけられそうになったのは、少女でした。しかし、勇敢な兄はあなたを押しのけて庇いました。なんて素晴らしい兄妹愛でしょうか。』
他人事のように語るその本のページがぐしゃりとシワになる。つい力を込めてしまった。
仕掛けはわからないが、気味が悪い。文字でいっぱいになったページをめくると、また文字が浮かんできた。
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ティアラ(プロフ) - とっても面白いです！更新待ってます (2018年11月14日 22時) (
レス) id: af09f6c40f (このIDを非表示/違反報告)
吹雪姫 - 早く続きがよみたいです (2018年11月12日 22時) (レス) id: 1cf32e6046 (このIDを非表示/違反報告)
マユ(プロフ) - 普通に人魚姫のお話だと思ってましたがこういうオリジナルなお話もいいですね。更新待ってます (2018年11月12日 21時) (レス) id: 03d4b99ba5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くず湯 | 作成日時：2018年11月11日 23時
