壊れる ページ3
「あー、爆豪の勝ちか……」
「私イケメン応援してたのになぁ」
クラスメイトの落胆の声。喜んでいるものはあまりいないが、興奮を押さえきれない者はチラホラ見えた。
「すげぇ闘いだった」
「ヒーロー科やべぇな」
爆豪の事だ。そう思って頬が緩む。彼は私の手が届かないほどすごくなっている。寂しいはずなのに、嬉しかった。
「……メイに言っとく？ アンタが振り向く可能性無さそうだって」
「え」
さっき名前を教えてくれた子だ。どういう意味か理解出来ずに首をかしげる。
「爆豪さ、アンタの事一次予選から気にしてた。反対にアンタは、絶対に見ようとしなかった。けど今、確信したわ」
あきれたように肩をすくめて笑う。この子はクラスでも賢い部類に入る子だ。
「クラスメイトとして応援してあげる、誰にも言わないからさ」
かっこよくウィンクして、その子は席を立った。
ポカンとしてその後ろ姿を見つめた。次第に熱くなる顔を誤魔化すように、口に手の甲を当てた。
*
「あ"？」
下校途中、夕日差す道に見慣れた後ろ姿を見つけた。
正直機嫌は最悪だ。半分野郎に手を抜かれ納得のいかない優勝。もらったメダルを砕く勢いで握りしめながら歩いていた。
「あっ、爆豪」
その女は平然とした顔で振り向いた。相変わらずクールな奴だ。半分野郎に似ている。
「優勝おめでとう、強かったね」
「ああ"！？」
今一番触れられたくない話題だ。話しかけられたのは嬉しいが、眉間にシワがよった。
「テメーこそ、本気出せばもっと勝てただろ」
「経営科は勝っても何もないの」
自然に隣を歩く形になって少し戸惑う。視線を泳がせながら、平静を装って歩幅を合わせた。
「すごいな、皆。爆豪なんか、手の届かない存在になっちゃってさ」
無理矢理作ったような笑顔を浮かべながら、そいつは呟いた。 手の届かない存在、それについてこいつはどう思っているのだろうか。
どうでもいい、清々する、寂しい……
最後のは完全に願望だ。思わずメダルを握る手に力が入る。
「ねぇ爆豪」
「んだよ」
「もし私に好きな人が出来たって言ったら、どうする」
メダルにピキッとひびが入った。
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白斑(プロフ) - 完結おめでとうございます。言葉選び、構成、内容、全て大好きでした。他にも爆豪勝己の夢小説を書いて下さると嬉しいです。楽しみにしています。 (2020年3月5日 0時) (
レス) id: c578caf510 (このIDを非表示/違反報告)
赤桐(プロフ) - 完結おめでとうございます！すごく面白かったです。続編待ってます！ (2019年3月27日 12時) (レス) id: 03edf14198 (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 完結おめでとうございます！面白かったです！ラスト良かったエンダァァァ(o>ω<o) 番外編もぜひ読みたいです…！ (2019年2月21日 17時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
かノン(プロフ) - 完結おめでとうございます！！終わってしまうことはとても残念ですが、番外編を楽しみにしています！！ハッピーエンドになってとても良かったです！！お疲れ様でした！そして、ありがとうございます！（この作品をつくっていただいて） (2018年12月19日 0時) (レス) id: b99762b4a6 (このIDを非表示/違反報告)
李恋-ﾘﾚﾝ-(プロフ) - 大好きでした！！！完結おめでとうございます！！ (2018年11月7日 2時) (レス) id: f803bf6e05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くず湯 | 作成日時：2018年11月4日 20時
