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「 足立 300 へ 13-02、犯人の車です。」
「 水島の野郎は煽りの常習者でした、俺達の車を煽る前に犯人のこともブイブイ煽ってた。」
「 おそらく犯人は煽られたことに腹を立て、犯行に及んだ。」
『 自分の犯行だとバレることを恐れてドライブレコーダーを盗んだと考えれば、筋は通ります。』
「 よし、ナンバーから住所を割り出してさくっと逮捕にいきますか、ねっ。」
もう少しで真実にありつける、と誰もが思ったであろう。
しかし、世の中そこまで甘くはなかった。
「 あとは、こちらで。」
「 ん？」
「 初動捜査ご苦労様でした。」
『 え？』
「 書類まとめたら戻りますんで、あとはよろしくお願いします。」
「 はい。」
「 よし行くぞ。」
訳のわかっていない2人を置いて話は進み、そのままポツンと置いていかれてしまった。
住所特定までやる気満々だった2人は、一気にポカン。
『 なんで……？』
ポツリと悲しそうに呟く橘の声が、耳に大きくこだました。
「 パッとしない。」
不貞腐れた伊吹の機嫌を表すかのように、外の天気は雨だった。
「 逮捕まで手伝ってくれって言われる場合もあるんだけどなぁ。」
「 やりがいは？ 機捜のやりがい。」
「 これが仕事、職務。」
「 そんなんじゃやれねぇだろ、警察って命懸けっしょ。
なのに給料高くない捜査一課なんていったら四六時中捜査に明け暮れて家にも帰れない、それでも何でやるのかって言ったら。」
伊吹は少し考えるような顔をして、車に乗りシートベルトを絞めながらこう言った。
「 正義感、犯人を捕まえたいそれしかないっしょ。」
俺はそれを聞きながら発車の準備を黙々と進める。
「 なのに機捜はその前で終わる、もう〜張り合いないっ！」
いじけたようにそう叫ぶ伊吹。
「 だからそういう仕事、当番勤務は24時間。
24時間の間にでぎうる限りを尽くして検挙率を上げるためのパーツとして働く。」
俺は書類を見ながら言い聞かせるよう言った。
「 自分の満足のためじゃない。」
ぱーつぅ？なんて納得いかない顔をして復唱する伊吹。
「 あと一つだけ言わせてもらう。」
「 まだ言うのぉ？」
「 俺は自分のことを正義だと思ってる奴が、一番嫌いだ。」
最後の言葉を強く、キツく言い放った。
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作者名：ふぃのぁ | 作成日時：2024年2月2日 14時
