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「 さっきの聴取の内容、報告書にはちゃんと書きます。」
靴カバーを脱ぎながら「 大体覚えてるんで。」と話す伊吹に、橘が『 私のメモ見ますか?』と問いかける。
が、俺は橘がメモ帳を差し出そうとするのを止めた。
「 橘さんのメモ帳は借りるな。」
「 ……じゃあどうする?」
「 はぁ……。」
?顔の2人説明するため、俺は伊吹のパーカーに手を入れる。
「 テッテレー。」
そこからボイスレコーダーを取り出し2人に見せた。
『 あっ、さっきの……。』
「 さっきの?」
橘はわかっていたようだが、伊吹はさっぱりわからずまだ?顔のまま。
俺は伊吹の真ん前にそれを突き出し、再生ボタンを押した。
《 電話相手に対して「 他の女のところなんかいない、ちゃんとすぐ帰る 」……。》
「 報告書書いたら、返してください。」
「 勝手に録ってたのかよ……信用ねぇなぁ。」
はい、とそれを渡せば悔しそうに受け取る伊吹。
こいつの悔しがるところを見るなんて初めてだと、少し気分が高揚した。
これがマウントをとるってやつか?なんて陣馬さんとの会話を頭に思い浮かべる。
「 あぁ、ないですよ。 俺は自分も他人も信用しない。」
そう言い残して先を歩いた。
「 ふーん……難しいねぇ。」
『 ……。』
この時、橘がどんな顔で俺の言葉を聞いていたのか。
俺には知る由もなかった。
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作者名:ふぃのぁ | 作成日時:2024年2月2日 14時