二人は鬼殺隊。 ページ5
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「では行ってくる!」
「いってらっしゃい。帰りは朝?」
「担当区域の見廻りだからな、状況次第で早く帰れる!」
「じゃあ私のほうが遅いかも。ご飯は一応用意しとくね」
「…そうか…」
明らかにシュンとした杏寿郎に、
Aは思わず吹き出した。
同じ鬼殺隊として、互いに任務は最優先。
Aが結婚を承諾する唯一の条件は、
鬼殺隊を続けること。
同じ鬼殺の剣士として、炎の呼吸の遣い手として、
杏寿郎も、Aの意思を尊重したのだ。
「そんな顔しないで、杏寿郎」
「…すまない」
「私達に共通して守るべき事は一つ」
生きて、ここへ帰ってくるという事。
Aの言葉に、力強く頷いた杏寿郎は、
頬を包んで、優しく口付けた。
「…愛してる、A」
「……私もよ、杏寿郎」
「困ったことになったぞA!」
「えっ!?何!?」
「今すぐ君を抱きたい!!」
「早く行きなさい」
帰ったら抱くぞ!と高らかに告げて姿を消した杏寿郎に、
苦笑いしながら、小さく息を漏らした。
「水野A、階級甲です。よろしくお願いします、風柱様」
「!お前が煉獄の嫁かァ」
初の風柱、実弥との任務に出たAは
突然の事に目を丸くする。
「……何故ご存知なのですか?」
「柱は全員知ってる」
「…あの馬鹿…」
「時透と冨岡がえらく評価してたぜェ」
期待していると、そう口角を上げた実弥に、
Aは頭を下げた。
柱が全員知っている、
先日行われた柱合会議の場かと、Aの中で合点がいったのだった。
秘密にしてほしいと言ったのは、他でもない。
炎柱である杏寿郎の隣に立つに相応しい自分になるまで、
それを周囲に認めてもらうまで、
自分なりのけじめのつもりだった。
「ご期待に添えるよう努めます」
「…ハッ、いい目するじゃねぇか。遅れんじゃねぇぞォ」
「はい」
知られてしまったのなら、仕方がない。
炎柱の妻として恥じぬよう、一層努めなくては。
「見つけたぜェ…!」
「援護はお任せを。風柱様は思うままに動いて下さい!」
刀を抜いたAに、
実弥は楽しげに笑った。
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香澄 - とっても面白いです!!今日の朝は電車で笑いを堪えながら見ていました笑。更新頑張ってくださいね! (2月19日 21時) (レス) @page8 id: 130dd00968 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - RUNAさん» コメントありがとうございます、分かりにくくてすみません、わざと火の表記にしています。日の呼吸について詳しく明かされていない状態での会話になるので…… (7月22日 14時) (レス) @page22 id: bb66615edf (このIDを非表示/違反報告)
RUNA(プロフ) - 失礼かとも思うんですが、火の呼吸じゃなく日の呼吸ですよ! (6月19日 22時) (レス) @page22 id: 391b329446 (このIDを非表示/違反報告)
夕 - 何度も続けてのコメントですみません。 物語読んでいて気が付いたのですが。。。 番外編.有能妻の日常のここの部分 待っていろ!と掛けて行った。 これ正しくは駆けて行ったではないんでしょうか? (2021年11月2日 1時) (レス) @page34 id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
夕 - またまた続けてのコメントですみません。。。 物語一気に読んじゃいました。 この物語では煉獄さん生き延びることが出来て良かった です。。。 その後のお二人のことが気になります。 (2021年11月2日 1時) (レス) @page33 id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユリア | 作成日時:2021年2月13日 23時