炎柱の有能妻。

そんなの許さない。 ページ25

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蝶屋敷。


ベッドに横たわって眠るのは



二日前まで、


私に笑いかけてくれた、

抱きしめてくれた、

愛を囁いてくれた、



愛おしいあなた。





「…炭治郎くんに聞いた。…乗客も、その場にいた誰一人死なせなかったって」





ぎゅっと、拳を握った。





「あなたの妻として、…立派に責務を果たしたねって、…そう言わなきゃいけないのは分かってる」





弱き者を助けるのは、

強く生まれた者の責務であると。


杏寿郎の母、瑠火の言葉を胸に

ずっと、心を燃やしてきた。



そんなあなたを誇りに思っていた。

そんなあなたを、愛していた。





「……ごめんね、杏寿郎。…私はそんなに、出来た妻にはなれないみたい」





震える手で、

杏寿郎の左目に巻かれた包帯をなぞる。


握った手は、温かくて。


確かに今、

杏寿郎は生きているのだと。


そう、分かるのに。





「……このまま、目を覚さないかもしれないなんて…そんなの、絶対許さないから…っ」





許さない。


あなたがこのまま目を覚さなかったら


このまま死んだりしたら



来世まで、絶対許さないんだから。





「…離縁しちゃうからね」





また私に笑ってくれなきゃ、


名前を呼んでくれなきゃ、


愛してるって、言ってくれなきゃ




…ねぇ、杏寿郎。



約束、ちゃんと守って。







…＿＿






目を開けて飛び込んだのは、



愛する妻の、怒った顔だった。





「……何故、怒っている」


「……杏寿郎が、私を残して逝こうとしたから」


「…それは……すまん」


「このまま目を覚さなかったら、来世までどうにか呪おうと思ってた」


「…はは…怖いな、」


「……おはよう、杏寿郎、…おかえり」


「……ただいま」





ようやく笑ったAが、

涙を流して俺を抱きしめる。



俺は、生き延びたのか。


生きて、Aの元に帰れたのか。



聞きたいことはたくさんある。


だが今は、

今だけは、


愛する彼女の温もりを、
ただ、感じていたい。





「……約束、ちゃんと覚えてる？」


「…ああ。…歳を取って、最期を迎えるまで…ずっと側にいる」


「…絶対、守ってね」


「……A」


「…ん、」


「……愛してる」








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相変わらずの捏造無限列車編でした(´ｰ｀)

どうしても死なせたくない…

せめてここではずっと生きてて兄上…

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