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「…もしまた生まれ変わっても、…私の側にいてくれる?」


「愚問だ。今世も来世も、俺は必ず君を幸せにする」


「……約束ね、杏寿郎」


「うむ!約束だ!…例え離れたとしても、Aを必ず見つけ出す。何度でも、…愛を誓う」




……___




ゆっくりと、意識が浮上する。


…懐かしい、夢を見た。


時計を見ると、時刻は6時25分。
起きるにはまだ少し早い。

もう少し、夢の続きを見ていたかった。



「……杏寿郎に会いたい、」



再会してから、昔の夢を見ることはほとんどなかった。
今を生きる彼らに出会えたからだろうと、A自身納得していたのだが。


…きっと、昨日のキスが原因だ。



「…ムカつく」



スマホを取り出し、杏寿郎へとメッセージを送る。

これを見て、悶々とすればいい。
Aのささやかな仕返しである。


少しすっきりした表情で、
Aは大きく背伸びをし、ベッドから立ち上がった。








ガタンッッと大きな音に、千寿郎は肩を震わせた。

兄の部屋から聞こえたそれに、襖の前で声を掛ける。



「あ、兄上?大きな音がしましたが…大丈夫ですか?」



返事の代わりにドタドタと足音が聞こえ、スパンッと勢いよく襖が開いた。

絶望した様子で立つ杏寿郎に、何事なのだと心臓が音を立てる。



「…一大事だ、千寿郎」
「!?なっ何があったんですか!?」



震える手で、スマホの画面を見せる。
ディスプレイに映った文字に、千寿郎はポポポ…と顔を赤くした。


『杏寿郎のせいで、昔の夢見ちゃった。
抱きしめてほしいのに、肝心な時に居ないんだから!バカ』


スマホがギシリと音を立てる。



「…行かねばならない!!」
「兄上っ落ち着いてください!」
「止めてくれるな千寿郎…っ!!俺は今すぐにAを抱きしめなければならない責務があるのだ…っ!!」



そんな兄上を止める事こそが、私の責務ですっ…!

なんとか落ち着いてもらおうとしがみつく千寿郎、
ピコン、と通知音が鳴り、二人は画面に目をやる。


『杏寿郎の事だから、今すぐ抱きしめに来ようとしてるんだろうけど。週末まで触るの禁止だからね!!
少しは節度を持って下さい』





「……何をしたんですか、兄上」
「……よもやよもやだ」





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ユリア(プロフ) - さやさん» こんばんは!こちらにも来て下さりありがとうございますっ(*´ω`*) そんなふうに言ってもらえて嬉しい限りです…(*^^*) (2021年4月11日 3時) (レス) id: 20317e0f29 (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - 大好きなシリーズの続編が読めて幸せです!!そして、ユリア様の文も好きなのですが※のあとのユリア様の一言コメントが可愛らしくて堪らなく好きです(^o^) (2021年4月11日 2時) (レス) id: d03059f13e (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - manappleさん» そんな…嬉しいです!(;_;) 今回は甘えん坊兄上をお届けしました!笑 週末暴走兄上!わっしょーい! (2021年1月18日 23時) (レス) id: 20317e0f29 (このIDを非表示/違反報告)
manapple(プロフ) - 続編嬉しい!終わらないの嬉しい!!もはやユリアさんの煉獄さんなしには生きていけないです(´∀`)日々きゅんをありがとうございます!週末最高!わっしょーい! (2021年1月18日 22時) (レス) id: 6c2aa07252 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - 鈴猫さん» ムフフ( ´∀`) 気に入ってもらえてよかったです( ´∀`) ギュンギュンしちゃいましたか…(゚∀゚) 駄々っ子兄上でした笑 (2021年1月18日 20時) (レス) id: 20317e0f29 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユリア | 作成日時:2020年12月30日 16時

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