今世も皆、幸せです。〈煉獄杏寿郎〉

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「…煉獄さんも、先生だよ」



炭治郎の言葉に、息を呑む。

…やっぱり、いるんだね、

複雑そうな表情を浮かべたAに、炭治郎と善逸は首を傾げる。



「？…どうしたんだ？A」
「嬉しく、ないの？」
「……ううん、嬉しいよ、」



会いたい。
会いたくて、たまらない。


記憶の中のあなたに会う度、どこにいるのって、何度も泣いた。

何度も愛を囁いてくれる、その声を聞く度に、

側にいない今世が、辛かった。



「…煉獄さん、ずっと、探してたよ」
「っ…」
「皆いるのに、Aちゃんだけが、どこにいるのか誰も知らなくて…」



県外にいたもんな…そうだよね、


Aは二人の手を握る。
顔を上げたその目に、笑顔を浮かべた。



「遅くなって、ごめんね！今日からまた、よろしくお願いします！」
「！！…もちろんだ！A！！」
「同じクラスってことは同い年？嬉しいなぁ！イヒヒヒ」
「16歳だよ！善逸と同い年！」
「今日からお前も、俺様の子分だな！」
「よろしくお願いします！親分！」



敬礼したAに、満足げに腕を組む伊之助。

炭治郎は嬉しそうに、教室の中へと導いた。
Aの席は、伊之助の隣だった。



「まさかかまぼこ隊と同じクラスで学生生活送れるなんて…」
「あん？かまぼこ？」
「伊之助は相変わらず前全開なんだね」



着てやってるだけありがたく思え、ともぐもぐしながら言った。
何か食べてる…いつのまに。



「もう食べてるのか！？ほら、移動するぞ！」
「……緊張する」
「どうせなら、皆驚かせようぜ！」
「？どうやって？」
「これ被ってろ」



そう言って、猪を被せられる。
おお…初伊之助。の頭。

ナイス伊之助！と善逸の嬉しそうな声が聞こえる。
大丈夫か？と炭治郎の問いに、静かに頷く。
以外と快適。



「見えにくいだろう？俺の手、握ってていいぞ」
「ありがと、炭治郎」



ニコ、と笑う炭治郎。今世でもいい男だね…

一見カップルにしか見えない二人に、善逸は複雑だった。
…炭治郎、これが初恋なら辛すぎるよ…
本人が気付いてるのか分からないけど。


体育館が近づく。

…落ち着け、大丈夫、

覚えていると言っていた。…自分を、探していたと。



…杏寿郎、




ぎゅっと口をつぐんで、


一歩、踏み入れた。





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