14。 ページ14
.
「失礼します…」
「うむ!すまないな、A。足労をかけた!」
書類を手にしたまま、杏寿郎はAへと視線を向けた。
入学式で会って以来である。
「あと少しで終わるんだ。待っていてもらえるか?」
「…わかりました、」
にこ、と笑顔を向ける杏寿郎に、顔を赤くする。
…嬉しそうな顔してる。
椅子に座り、ペンを走らせるその手を見つめる。
日輪刀を握り、沢山の人達を守ってきたその手は。
今は教師という形で、生徒達を導いている。
「…ふふ、」
「?どうしたのだ?」
「……好きだなぁって」
杏寿郎の手から、ペンが転げ落ちる。
目を見開いたまま固まっている杏寿郎に、Aは首を傾げる。
…もしかして、声に、出てた?
「俺も好きだが…今それを言うのはずるいぞA」
「…あの、…煉獄先生」
「二人だけの時は名前で呼んでほしい!!」
「声が大きいっっ」
しーっと指を当てると、嬉しそうに笑う杏寿郎。
…何で喜んでるんだろう。
不思議そうにするAに、杏寿郎は立ち上がる。
「…Aのそれを、久々に聞いたな!」
「……声が大きい?」
「ああ!前世ではよく注意された!」
「…あははっ、そうだったね!」
Aの隣に腰を下ろし、顔を見合わせて笑った。
…あぁ、この感じ、
こうやって、たくさん話して、笑って、
一緒に過ごした毎日が、つい最近の事のように思い出せる。
「…私ね、本当に、また会えて嬉しいの」
「……あぁ、俺もだ」
「あの頃みたいに、また、杏寿郎の側に居たいって、…そう思ってる」
「それも、同じだな!…そして、それは現実になる」
「……ふふ、…そっか、」
嬉しいなぁ。
そうはにかんだAの手を、杏寿郎のそれが包んだ。
ゆっくり引かれ、抱きしめられる。
「…もっと、Aと話がしたい」
「……うん、」
「連絡先を断られた時は、肝が冷えた!今世では君の側に居られないのかと」
「…ごめんなさい。今の杏寿郎は先生で、私は生徒だから……ちゃんと、割り切らなきゃって思って」
「うむ!本来ならば俺が言わなければならない事だった!教職者として不甲斐なしだ!!」
…そこは気付いてくれてたんだ。
Aから身体を離し、両肩を掴む。
「俺は教師で、君は生徒だ!俺もちゃんと割り切って接しよう!特別扱いはしない!」
「はい!そうしてほしいです!」
「だがそれ以外では俺の妻として接したい!!」
「わかっ……え?」
.
799人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ユリア(プロフ) - さやさん» こんばんは!こちらにも来て下さりありがとうございますっ(*´ω`*) そんなふうに言ってもらえて嬉しい限りです…(*^^*) (2021年4月11日 3時) (レス) id: 20317e0f29 (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - 大好きなシリーズの続編が読めて幸せです!!そして、ユリア様の文も好きなのですが※のあとのユリア様の一言コメントが可愛らしくて堪らなく好きです(^o^) (2021年4月11日 2時) (レス) id: d03059f13e (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - manappleさん» そんな…嬉しいです!(;_;) 今回は甘えん坊兄上をお届けしました!笑 週末暴走兄上!わっしょーい! (2021年1月18日 23時) (レス) id: 20317e0f29 (このIDを非表示/違反報告)
manapple(プロフ) - 続編嬉しい!終わらないの嬉しい!!もはやユリアさんの煉獄さんなしには生きていけないです(´∀`)日々きゅんをありがとうございます!週末最高!わっしょーい! (2021年1月18日 22時) (レス) id: 6c2aa07252 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - 鈴猫さん» ムフフ( ´∀`) 気に入ってもらえてよかったです( ´∀`) ギュンギュンしちゃいましたか…(゚∀゚) 駄々っ子兄上でした笑 (2021年1月18日 20時) (レス) id: 20317e0f29 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ユリア | 作成日時:2020年12月30日 16時