今世も皆、幸せです。〈煉獄杏寿郎〉

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輪廻転生という言葉を、聞いたことがあるだろうか。



人が死んだあと、新しい世界に何度も生まれ変わること。


私達の命は、巡っているのだ。



本来ならば、前世の記憶など持ち得ないものだが


何故か私には、そうであろう記憶があった。



鬼のいる世界。

鬼を斬る、鬼殺隊という組織。

炎の呼吸、

継子、

…煉獄、杏寿郎。






きっかけがある度に、少しずつ思い出したそれらは


私をあの頃の私に戻すには十分すぎて。


…あぁ、皆に会いたいなぁ。




そう涙してから、3年。






私は今日、『キメツ学園』に入園する。






中高一貫であるこの学園を知ったのは、2年前。

鬼を滅する、私の記憶の中のそれを連想させる学園名に、胸が鳴った。

理事長の名前を見て、それは確信に変わった。


どうしても、入学したかった。


理事長に宛てた手紙の返事が届いたのは、すぐのことだ。

あの頃と変わらない、優しい人柄に、その文面に、
心が温かくなった。





高校からの入学が決まり、地元を離れて学園の近くへと引っ越した。


両親は幼い頃に事故で他界、それからは、祖母にずっと育ててもらった。


…前世の私と、同じだ。

本来なら、鬼のいる世界など無縁だった私が、ある日突然、世界を跨いだ。
いわゆる、トリップというやつだ。


…愛する者を守りたいという想いが、届いたのだと。

守るために刀を振るうと決めたその日、そこは私の新たな世界となった。


幸せな、生涯を遂げた世界。






「……杏寿郎、」



あなたも、ここに、いるの？








…門の前で、ゆっくりと深呼吸する。



覚えていても、いなくても。


幸せに生きているのなら、それでいい。






…それでももし、叶うなら。



もう一度、あなたに、抱きしめてほしい。









「…腹を括れ！！A！！」




バチン！と両頬を叩き、一歩を踏み出した。









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