☆10. ページ10
.
彼女…Aの言葉に、一瞬で我に返った。
俺は、何を言おうとしていた。
困惑したような表情を浮かべるAに、
俺は思いっきり自身の頬を殴った。
何を、している。
浮かれている。完全に。
｢！？ちょっ…え、なんでっ…｣
｢すまん！少々…いや、思った以上にそうだったらしい！｣
｢…？そう…？？｣
邪な想いは抱いていない、か。
どの口が言えたものか。
抱いたことのない感情に、
それを受け入れる術を知らなかった故の愚かさと言うべきか。
本当に、不甲斐ない。
｢うむ！再会した所からやり直そう！！｣
｢やり直しって…｣
｢すまない、君を困らせるつもりはなかった！暴走してしまった、己の未熟さが不甲斐ない！穴があったら入りたい！！｣
そうだ。
本当に、彼女を想っているのなら。
この感情を、押し付けてはならない。
恋情とは知らず、
ただ、また会えればと。
生きてまた、会えればと。
それだけで、よかったはずだ。
それ以上は、求めるべきではない。
彼女が俺と視線を交わしたのは、
初めて会った、あの日だけなのだから。
｢困ってなんて…！ただちょっと…頭が追いついてなくて、｣
｢……うむ！ならばこの話はこれでお終いだな！｣
｢！あ…、｣
｢改めて、今回の任務について話そう！｣
鬼を斬る。
その為に、必要な事はやる。
俺とAで鬼を斬り、
誰一人、死なせることなく守り抜こう。
Aも、それを望んでいるはずだ。
｢準備が出来次第出発しよう！｣
｢はいっ、…あの、杏寿郎さん、｣
｢…ん？｣
名を、呼んでくれる。
｢…絶対、任務を成功させましょうね｣
｢…うむ、もちろんだ｣
共に、戦うことができる。
｢そして必ず、生きて帰るぞ！｣
｢…っはい！！｣
それだけで、十分だ。
……それだけで。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 158人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まゆ - 無理のないように頑張って下さい！ユリアさんのファンになりました٩(๑>∀<๑)۶ (2月4日 9時) (
レス) @page19 id: 311499c733 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - まゆさん» うわーーんコメントありがとうございます( ; ; )ドキドキ！嬉しいです！頑張ります(*´˘`*)♡ (2月3日 22時) (レス) id: bb66615edf (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - とても素敵なお話です！読んでいるとすごくドキドキしました♡続きが気になります！更新を楽しみにしてます⸜( •⌄• )⸝ (2月3日 15時) (レス) @page16 id: 311499c733 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - にこさん» ( ᴗ͈ ᴗ͈)” 勢いのまま完結まで書き切りたいと思います(*˙˘˙*) (1月23日 1時) (レス) id: bb66615edf (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - さやさん» (*´˘`*)♡ (1月23日 1時) (レス) id: bb66615edf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ユリア
| 作成日時：2024年1月21日 14時
