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「宇髄、此度の潜入任務に俺を推薦してくれたそうだな!ありがとう!!」
「おー。それよりお前、相手にA指名したんだって?」
「、……うむ、…やはり軽率だったろうか」
「んにゃ、お前が言わなきゃ俺が言うつもりだったしいんじゃね?」
「!そ、そうか!!」
京極A。
1年ほど前。
近くで鬼の襲来があったと鴉に聞いた俺は、そのまま足を向けた。
到着した頃には部隊はほぼ全滅しており、
積もった真っ白な雪の中に一人、立ちすくむ後ろ姿を見つけた。
横たわる黒、
辺りに転々と散る赤、
塵となって消えゆく鬼の残煙、
その中で一人。
靡く髪をそのままに、立ち尽くす彼女。
息を呑んだ。
涙を流しているであろう、その後ろ姿を、
抱き寄せて、この腕に閉じ込めたい。
そんな感情が、脳裏を掠った。
「っ……何を、」
俺は、何を考えているのだ。
俺が遅れたせいで、彼女の仲間達は散ってしまった。
炎柱として不甲斐ない。
ざわついた胸に蓋をして、慌てて彼女の元へと駆け寄った。
弾かれたようにこちらを見たその目と、視線が合わさった時。
…その蓋がまた、外れてしまいそうになったのは言うまでもない。
「んで?初恋拗らせた炎柱サマは、とうとう意中の相手と任務での夫婦役を演じることになったわけだが?」
「なっ…!!い、意中とはなんだ!?」
「は?いや、今更」
「俺は彼女にそんな邪な想いを抱いてはいない!!!!」
「うっせぇ!!」
確かに、あの時は…
涙する彼女を、抱き寄せたいと思ったりもした。それは認めよう。
だが、
それは決して邪な感情から抱いた感情ではなく、
ただ……
「……あまりに、美しかった」
「……惚れてんじゃん」
「それは分からん!!!」
「めんどくせぇ…」
それを確かめようにも、
あれから彼女に会うことは叶わなかった。
…おそらく、避けられている。
「…あの日、気に障ることを言ってしまったやもしれぬ」
「…………ま、直接本人に確かめるこった」
夫婦役なんだし?
と、いつもの楽しんでいる表情が癪に障るが…
今回ばかりは、宇髄に感謝だ。
やっと巡った機会、無駄にはするまい。
…こんなに胸が踊る任務は初めてだ。
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まゆ - 無理のないように頑張って下さい!ユリアさんのファンになりました٩(๑>∀<๑)۶ (2月4日 9時) (レス) @page19 id: 311499c733 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - まゆさん» うわーーんコメントありがとうございます( ; ; )ドキドキ!嬉しいです!頑張ります(*´˘`*)♡ (2月3日 22時) (レス) id: bb66615edf (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - とても素敵なお話です!読んでいるとすごくドキドキしました♡続きが気になります!更新を楽しみにしてます⸜( •⌄• )⸝ (2月3日 15時) (レス) @page16 id: 311499c733 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - にこさん» ( ᴗ͈ ᴗ͈)” 勢いのまま完結まで書き切りたいと思います(*˙˘˙*) (1月23日 1時) (レス) id: bb66615edf (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - さやさん» (*´˘`*)♡ (1月23日 1時) (レス) id: bb66615edf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユリア | 作成日時:2024年1月21日 14時