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「…す、すまん、…その、…君があまりに可愛いことを言うものだから、」
いつもの杏寿郎さんからは想像もできないような小さな声で、もごもごとそう口にする。
照れているのか、顔が少し赤くなっている。
私の言葉を遮ったのは、紛れもない、杏寿郎さんからの接吻だった。
驚きと、恥ずかしさと、
色んな感情がぶつかって、反応できなかったけれど、
そんなことより。
「……あの、」
「まずは許可を得なければならなかった!のは、分かっている!だがその、身体が勝手にだなっ」
「…………ずるい」
「んん!?」
ずるい。
強くて、真っ直ぐで、格好良くて、
ずっと目標で、いつだって私に勇気をくれる杏寿郎さん。
なのに、
「……こんな可愛いなんてずるいです!!」
「よっ…よもやそれは君のほうだろう!?」
「いいえ!!杏寿郎さんのほうが可愛いです!!」
「Aより愛い人間はいない!!!」
「なっ…そっ…言い過ぎですっ!!!!」
「では素直に認めることだな!!!!!」
私達は一体何を争っているのだ。
夫婦役をやっているときから、杏寿郎さんの可愛さには薄々気付いていたが…
照れている姿は刺激が強すぎる。私の心臓がもたない。
「コホン……うむ、仕切り直しだ!A、会いたかった!」
「、…私も、会いたかったです」
「好きだ!……いや、これでは足りんな」
顎に手を当てて小さく呟いた後、
にこりと笑ってそのまま私の身体を引き寄せた。
勢いのまま杏寿郎さんの胸にもたれかかる。
ぎゅっと抱きしめられて、
私もぎこちなくその背中に腕を回した。
足りない…抱擁したかったってことかな?
なんて、緩む頬をそのままに、せっかくの機会を堪能していた。
そう。
私は、分かっていなかった。
「…愛している。誰の目にも触れさせたくないほどに」
煉獄杏寿郎という男の、“本気”を。
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まゆ - 無理のないように頑張って下さい!ユリアさんのファンになりました٩(๑>∀<๑)۶ (2月4日 9時) (レス) @page19 id: 311499c733 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - まゆさん» うわーーんコメントありがとうございます( ; ; )ドキドキ!嬉しいです!頑張ります(*´˘`*)♡ (2月3日 22時) (レス) id: bb66615edf (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - とても素敵なお話です!読んでいるとすごくドキドキしました♡続きが気になります!更新を楽しみにしてます⸜( •⌄• )⸝ (2月3日 15時) (レス) @page16 id: 311499c733 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - にこさん» ( ᴗ͈ ᴗ͈)” 勢いのまま完結まで書き切りたいと思います(*˙˘˙*) (1月23日 1時) (レス) id: bb66615edf (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - さやさん» (*´˘`*)♡ (1月23日 1時) (レス) id: bb66615edf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユリア | 作成日時:2024年1月21日 14時